欧州議会、ロシアとの戦略的関係を否定、ノード・ストリーム2の開発も反対

(ロシア、EU)

モスクワ発

2019年03月14日

欧州議会(本会議)は3月12日、EUとロシアの政治関係についての新たな決議を採択した。決議(暫定版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ロシアが国際法に違反し続けるのであれば、EUは追加制裁を導入する体制を維持すべきだとしている。理由としては、クリミア半島の実効支配の継続や東部ウクライナ紛争の未解決、中東アフリカ諸国での内政干渉、サイバー攻撃による情報操作、マネーロンダリングへの関与などがある。さらに、EUにとってロシアはもはや戦略的パートナーと見なすことができないとも記されている。

EUの現行の対ロシア制裁は、2018年12月11日の欧州理事会の決定を受け、7月31日まで延長している。

また、ロシアの天然ガス最大手ガスプロムが開発を進めるパイプラインのノード・ストリーム2(以下、NS2、注)については、ロシアによるガス供給依存をさらに強め、EUの国内市場を脅かすとし、同パイプラインの開発は中止すべきだとしている。

NS2の開発に関与しているドイツのエネルギー大手ユニパーの広報は、ロシア・メディアの取材に対し、欧州議会の決議内容には触れなかったものの、「われわれはNS2の開発に関与し続ける。このプロジェクトは実行されると確信している」とコメントしている(タス通信3月12日)。ドイツはロシア産天然ガスの最大の輸入国であり、ドイツ政府はこれまでNS2の開発に積極的な姿勢を見せてきた。NS2のウェブサイトによると、既にロシア、フィンランド、スウェーデン、ドイツからパイプライン建設に関する許可を取得している。

(注)ロシアからバルト海底を経てドイツまでを結ぶパイプライン「ノード・ストリーム」(年間送ガス能力は550億立方メートル)と同じルート・同じ規模の敷設が計画されているパイプライン。ドイツのエネルギー大手ユニパーや石油・ガス大手ウィンターシャル、フランスのガス大手エンジー、オーストリアの石油大手OMV、英国・オランダ系石油メジャーのシェルが開発に関与している。

(戎佑一郎)

(ロシア、EU)

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