トルドー首相、空席の閣僚人事を任命

(カナダ)

トロント発

2019年03月26日

カナダのトルドー首相は3月18日、3月4日に辞任したジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府相の後任に、ジョイス・マレー下院議員を任命した。内閣改造は2019年に入って3度目だが、SNCラバリン・グループの贈賄事件に絡む司法介入疑惑が発覚して以降では、3月1日に続く閣僚の入れ替えとなった。

建設土木大手SNCラバリンによるリビア政府への贈賄事件について、「グローブ・アンド・メール」紙は2月7日、ジョディ・ウィルソン=レイボールド法相兼司法長官の在任中(1月14日に退役軍人相に就任)に、トルドー首相が、同社の訴追を見送るように同氏に圧力をかけていたと報道。トルドー首相はこの報道を「事実無根」と否定していたが、ウィルソン=レイボールド退役軍人相は、2月12日に閣僚を辞任した。

続いて、ジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府相が、今回の贈賄事件に絡んだ司法介入疑惑などトルドー政権の対応に信頼が置けなくなったとの理由で、3月4日に閣僚を辞任した。同氏は1月の内閣改造で政府・先住民相から移ったばかりだった。

なお、ウィルソン=レイボールド退役軍人相の後任には、3月1日にそれまで農務・農産食品相を務めていたローレンス・マコーレー氏を起用し、農務・農産食品相にはマリー=クロード・ビボー国際開発相を充てた。国際開発相は、マリアム・モンセフ女性の地位・ジェンダー平等相の兼任とした。

与党・自由党の支持率が野党・保守党を下回る

2019年10月の総選挙に向けて、今回のスキャンダルは、トルドー政権に大きな打撃となっている。3月1~4日にグローバルニュースが行った世論調査では、与党・自由党に対する国民の支持率が、野党・保守党を初めて下回ったとする結果(自由党31%、保守党40%、新民主党20%)となった。

(酒井拓司)

(カナダ)

ビジネス短信 550f1afc48f6e911