トゥスク常任議長、ブレグジット長期延期容認を示唆

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月28日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は3月27日、欧州議会本会議で、3月21、22日に開催された欧州理事会の結果(2019年3月22日記事参照)を報告した。その結びで「個人的見解」と断った上で、英国内でEU残留を望む動きがあることに触れ、欧州議会議員はこの民意を尊重すべきだと語った。また、英国側がEU離脱(ブレグジット)戦略を見直した場合、EUとしてもブレグジットの長期延期について検討するとの認識をあらためて強調した。

英国側の離脱撤回論に配慮するトゥスク常任議長

トゥスク常任議長は長期延期を容認する前提として、「英国の欧州議会選挙への参加」を挙げた。これには、一部の欧州議員から不都合との声が上がっているが、「受け入れられない」とコメント。英国で離脱撤回を求める請願に600万人が署名したことや、ブレグジットの是非を問う国民投票の再実施を求めるデモに100万人が参加したことなどに触れ、欧州議員に対して「あなた方はこの民意を裏切ることはできない」と発言した。

同議長は「(英国の離脱撤回を求める人は自らの)民意が英国議会で十分に反映されていないと受け止めているかも知れない」と指摘、そうした民意を代弁するのが欧州議員の役割だと語り、ブレグジット長期延期に含みを持たせた。

欧州議会でブレグジット問題対策グループ座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)も同日、ツイッターに欧州議会での発言を投稿。英国での離脱撤回を求める動きについて、「英国のEU回帰に向けた『種』がまかれた」と評した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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