スタートアップに投資、支援の動きも

(カンボジア)

プノンペン発、アジア大洋州課

2019年03月20日

カンボジアで、スタートアップに対する投資や支援の動きが加速している。現地報道によると、同国の通信大手スマートアシアタが設立したカンボジア初のデジタル分野向けベンチャーキャピタルである、スマートアシアタデジタルイノベーションファンド(SADIF)は、同国のスタートアップのオクラ(Okra)とサウスディ(Sousdey)に投資を行った(「クメール・タイムズ」紙3月13日)。

オクラは2016年に設立され、太陽光発電による電力の発電量や消費量などの遠隔管理・調整を行い、農村部で手ごろな価格で電力を得られるシステムを活用した事業を行っている。同社のサービスを活用し、カンボジアの約100世帯、500人以上の人々が電力供給を受けている。サウスディは2017年に事業を開始し、人工知能(AI)プラットフォームでクメール語の自然言語処理を開発した最初の会社で、カンボジアにおけるフェイスブックのチャットボットサービスの先駆者となっている。同社は800社の顧客にこのサービスを提供し、そのプラットフォームを通じて200万以上の会話を促進してきたとされている。

スタートアップ支援機関が発足

スタートアップに対する支援の動きとして、カンボジアでは2月、法務や税務、知的財産面の支援を行う「カンボジアスタートアップアドバイザーズ(Cambodia Startup Advisers)」が発足した。同機関によると、カンボジアでここ数カ月間にフィンテック、eコマースなどの事業を行う100以上のスタートアップが立ち上げられたとしている。しかし、金融調査会社であるメコン・ストラテジック・パートナーズとレインツリー・デベロップメントが2018年に行った調査によると、60%以上の起業家がスタートアップに関する法律面、税制面のアドバイスを受けることは困難だと感じているとしている。同機関は今後、起業家へのアドバイス、刊行物の発行、イベントの開催などを通じ、スタートアップに関する現行の法律、税制、知的財産の情報を提供していくとしている。

(脇坂敬久、安野亮太)

(カンボジア)

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