洋上風力の成長戦略を公表

(英国)

ロンドン発

2019年03月14日

英国政府は3月7日、洋上風力産業の成長戦略を示した「洋上風力セクター・ディール」を公表した。政府は2017年11月に発表した産業戦略(2017年12月28日記事参照)に基づき、自動車やライフサイエンスなど経済の生産性向上への大きな寄与が期待される産業について、成長戦略を定めたセクター・ディールを策定している。洋上風力についても、英国が国際的に主導的な立ち位置を構築し、クリーンな成長への国際シフトの中での優位性を最大化することを目的として、今回策定した。

政府は、洋上風力発電など低炭素発電技術を対象に、2014年から補助金の入札枠組みを設けており、これまで2回入札を実施している。政府は今後の入札に5億5,700万ポンド(約813億2,200万円、1ポンド=約146円)の予算を準備している。3回目の入札は5月に行われ、以降も2年ごとに入札を継続することを示した。

産業界は、2030年までに洋上風力産業のコストに占める英国内の調達率を60%まで引き上げることに加え、従事する女性労働者の割合を3分の1以上に引き上げることを目標としている。また、2億5,000万ポンドの投資によって、サプライチェーンを強化するとともに、洋上風力成長パートナーシップ(OWGP)を設立、関連企業の技術の底上げと連携を促進することにより、生産性と競争力の向上を図る。

国際通商省(DIT)は産業界と協力し、国内だけでなく、海外への産業輸出を図る。小規模な事業者も含めた支援を実施し、欧州域内に加え、日本、韓国、台湾、米国といった市場への産業輸出を増進させ、2030年までに現在の5倍となる1年当たり26億ポンド規模まで輸出を拡大することを目指す。また、政府はセクター・ディールに加え、400万ポンドを投じ、インドネシアやベトナムといったアジアの国々で活動する英国企業に支援を提供することにより、英国企業の新規市場開拓を推し進める一方、開発途上国に対する技術支援を行うとしている。

政府によると、世界の洋上風力の導入量は現在の2,200万キロワットから2030年には1億5,400万キロワットまで拡大するとみられており、英国では最大3,000万キロワットが導入される見通しだ。

(木下裕之)

(英国)

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