国家改革「ビジョン2030」を支える産業成長戦略(NIDLP)を発表

(サウジアラビア)

リヤド発

2019年02月01日

サウジアラビア政府は1月28日、国家改革「ビジョン2030」をより具体的に推進するための産業成長戦略(National Industrial Development and Logistics Program:NIDLP)を発表した。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子も発表に立ち会った

NIDLPでは、鉱物資源(Mining)、産業(Industry、製造業など)、エネルギー(Energy)、物流(Logistics)の4分野を重点分野として挙げた。「ビジョン2030」の中では、「投資能力の向上」「鉱物分野における潜在的な国家経済への貢献」などは記されているものの、具体的な投資機会の記述はなかった。

今回発表されたNIDLPでは、より具体的な投資機会が発表されたことになり、投資機会のターゲットが細分化された印象だ。アルミ製品製造、鉱物探査、車両部品、ジェネリック薬品製造、港湾運営、再生可能エネルギー関連部品製造など、80項目の各投資機会に約30の政府機関がカウンターパートとなっている。NIDLPの発表によると、投資機会は1兆7,000億リヤル(約49兆3,000億円、1リヤル=約29円)に上り、2030年までにGDPを1兆2,000億リヤルに引き上げ、160万人の雇用創出を目指す。

今回の発表では、特定の産業だけ発展させるのではなく、2030年までに1兆リヤルの非石油部門の輸出・再輸出につなげるための物流機能も併せて発展させていくなど、各閣僚から「産業発展のエコシステム」というキーワードが発せられた。

また、NIDLPに関連する66の覚書のうち37が調印された。米ダウ・ケミカルをはじめ、IBM、フランスのタレスなど、従来からサウジアラビア市場に強い欧米勢に加え、アジア勢からは、サウジアラビア南部のジーザーン経済都市で石化プラント建設を担う中国パン-アジア(Pan-Asia)、ダンマン港を運営するシンガポールのPSAインターナショナルなどの企業が見られた。

発表されたNIDLPの投資機会一覧は、NIDLPブックレットPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から確認できる。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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