2018年の粗鋼生産量は史上最高の9億トン台、前年比6.6%増

(中国)

上海発

2019年02月06日

国家発展改革委員会が1月30日に発表した鉄鋼業概況によると、2018年の粗鋼生産量は9億2,826万トンで、史上最高記録を更新した。前年比伸び率は6.6%で世界平均の4.6%を上回り、世界に占める市場シェアも前年より1ポイント増の51.3%に高まった(表参照)。

表 主要国の2018年の粗鋼生産量

中国はここ3年間、スクラップを原料とする劣悪な鉄鋼製品「地条鋼」に対して徹底的な取り締まりを実施し、過剰生産能力についても1億5,000万トン削減した。これにより設備の稼働率は向上し、中国鉄鋼工業協会がまとめた2018年の鋼材価格の平均指数は、2017年に比べて6.5%上昇した。また、国内需要の増加や販売価格の上昇などを背景に、鉄鋼業界の総利益は39.3%増の4,704億元(約7兆5,264億円、1元=約16円)と大幅に増えた。

粗鋼輸出は3年連続で減少

中国海関総署(税関)の発表によると、国内の需要増と米中貿易摩擦に影響され、2018年の鋼材輸出量は前年比8.1%減の6,934万トンとなった。ただ、輸出総額は11.2%増の606億ドルに上昇した。

中国の鋼材輸出量は、通常は国内生産量の1割を超えないが、国内の販売価格が低下すれば輸出量が拡大し、上昇すれば減少する傾向がみられる。そのため、2015年の鋼材輸出量は国内価格の低迷で史上最高の1億1,240万トンに達したものの、2016年以降は国内価格の回復により3年連続で減少している。

調査会社の蘭格鋼鉄研究センターは、2019年の鋼材輸出量が2018年並みの7,000万トン前後になると推計しているが、国内価格の変動により輸出が再び拡大するとの指摘もある。

(劉元森)

(中国)

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