ニュージーランドとオーストラリアが首脳会談、連携強化を確認

(ニュージーランド、オーストラリア)

オークランド発

2019年02月26日

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は2月22日、オークランドを訪問していたオーストラリアのスコット・モリソン首相との首脳会談を開催した。両首脳は「トランスタスマン関係」として、両国の経済成長、繁栄促進、雇用創出において経済関係緊密化協定(CER)や、単一経済市場(SEM)への取り組みが果たす役割を歓迎した。

また、2018年3月の両国首脳会談を契機に取りまとめられた、「オーストラリアとニュージーランドにおけるデジタル経済の成長、中小企業の最大限の機会創出」の共同報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表を受けて、両首脳は各政府に対して報告書の提案を検討するよう指示した。とりわけデジタル分野に関しては、電子調達システム、電子決済、電子認証などにおける「デジタル分野の両国連携」の方向性を打ち出した。2018年から導入された電子請求書(e-invoicing)に関する両国の著しい進展を歓迎しつつ、「オーストラリア・ニュージーランド電子請求委員会(ANZEIB)」の発足を発表した。ANZEIBは、今後数年をかけて両国の電子請求書の方向性を定める役割を担う。電子請求書導入により、両国は今後10年間で約300億オーストラリア・ドル(約2兆3,700億円、豪ドル、1豪ドル=約79円)のコスト削減効果を期待している。また、両国共通の電子請求書規格として、欧州の「汎(はん)欧州オンライン公的調達(PEPPOL)」の採用意向も表明した。このほか、人工知能、ロボット工学、ブロックチェーン、量子コンピューティングなど、新技術の最大限の活用と起こり得るリスクの管理を図るよう、関係機関に指示した。

両国は「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」の最大限の活用や、東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の早期締結に向けた連携にも言及。このほか、ニュージーランドが国交を持つ北朝鮮に関連し、2月27、28日にベトナムで予定される米朝首脳会談を含めた、朝鮮半島における前向きな事態の進展を歓迎した。また、気候変動に関するパリ協定は、地球規模での履行が必要なことを確認、第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)の議長国にフィジーが就任したことを祝福し、今後の気候に関する対話の進展に期待を表明した。

(奥貴史)

(ニュージーランド、オーストラリア)

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