現代重工業が大宇造船海洋を買収か、条件付きMOU締結

(韓国)

ソウル発

2019年02月12日

政府系金融機関の韓国産業銀行は1月31日、約56%の株式を保有している大宇造船海洋と、造船世界最大手の現代重工業の合併について「条件付きMOU(了解覚書)」を締結したと発表した。これが実現すれば、韓国の造船業界は現代重工業とサムスン重工業の2強体制(従来は3強体制)に再編され、業界の競争力強化につながる見通し。2018年の船舶受注で、中国を抜いて7年ぶりに首位となった韓国は、政府主導による造船産業の強化を進めており、その先行きが注目されている。

韓国メディアが報道した双方の発表内容によると、韓国産業銀行と現代重工業持株(グループの持ち株会社)は新会社を設立、その後、韓国産業銀行が保有している大宇造船海洋の株式を新会社に譲渡し、代わりに新会社の株式を受け取る構想だ。現代重工業グループの既存造船3社(現代重工業、現代三湖重工業、現代尾浦造船)と大宇造船海洋が、新会社の傘下に入るかたちとなる。

韓国産業銀行では「この件は一般的なM&Aと異なり、韓国産業銀行が保有している大宇造船海洋の持ち分の現物出資と、買収者に対する大宇造船海洋の有償増資などが絡まった複雑な取引構造となっており、公開売却で取引を進めるのは不可能」(「イーデイリー」紙電子版1月31日)としている。同行の李東傑(イ・ドンゴル)会長は1月31日の記者懇談会で、「今回の現代重工業とのMOUは最終的に確定した契約書ではない。急ぎ、サムスン重工業に買収の意向を打診し、意向があれば、条件を比較し決定する」(「ニューシス」同日)と語った。

両社の合弁については、韓国の公正取引委員会の企業結合審査が必要なため、最終契約まではかなりの時間がかかる見通しだ。公正取引委員会の企業結合審査は、市場画定と競争制限性の判断に分けられており、両社の合弁が影響を与える国内外市場の範囲と市場シェアとともに、合弁後の市場集中度の評価と競争制限の懸念などを基に判断する。審査期間は最長で120日間。

〔李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(韓国)

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