ACEA、自動車輸入をめぐる米商務省報告書に強い懸念表明

(EU、米国)

ブリュッセル発

2019年02月20日

欧州自動車工業会(ACEA)は2月19日、米国商務省がドナルド・トランプ大統領に対して2月17日に提出したとされる「1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品に関する安全保障調査報告書」について、新たな関税賦課につながる可能性があるとして強い懸念を表明した。

欧州メーカーは国家安全保障上の脅威ではないと主張

ACEAの見解によれば、自動車・同部品に対する追加関税賦課は(対米輸出を行う)EU産業界に甚大な影響をもたらすだけでなく、米国経済やその消費者にも打撃となる、という。さらに米国内の企業か外国資本かを問わず、米国内で生産する全ての自動車メーカーは深刻なコスト上昇に直面する、とACEAは警鐘を鳴らす。

こうした大幅なコスト上昇に伴い、米国内の自動車生産企業はコスト圧縮を迫られるほか、補修などの追加コストが顧客に転嫁され、競争力の低下や消費者の家計を圧迫することになる、とACEAは指摘。米国政府による追加関税賦課は「米国経済に悪影響をもたらすだけ」と批判した。

また、ACEAは米国内で操業する欧州自動車メーカーの現状について、「年産100万台レベルだが、その約60%は輸出用。全米での直接・間接の雇用数は47万人に達し、米国経済にとって主要な投資家でもある」と主張。エリック・ヨナー事務局長は「EUから(米国への)自動車・同部品輸入が、米国の国家安全保障上の脅威でないことは明らか」と述べた。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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