2019年の最低賃金を4.61%引き上げ

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年01月21日

ブラジル政府は、法定最低賃金を2018年の月額954レアル(約258ドル、1レアル=約0.27ドル)から44レアル引き上げ、月額998レアルとする政令9661号を1月1日に施行した。引き上げ率は4.61%。日給は33.27レアル、時給は4.54レアルで、2019年末まで維持される。

州によっては、連邦の水準よりも高い最低賃金を設定している。2018年の場合、サンパウロ州では1月18日付州令16665号で、一般労働者、掃除人などは月額1,108.38レアル、リオデジャネイロ州では3月7日付州令7898号により、一般労働者、家政婦などは月額1,193.36レアルと定めている。

1月4日付「グローボ」紙によれば、労組間社会経済調査・統計所(DIEESE)の調査で、最低賃金はブラジルの4,800万人に影響が及ぶという。ブラジル人口2億766万人(2017年時点)の4分の1程度に相当する。

最低賃金は、前年の全国消費者物価指数(INPC)と、前々年のGDP成長率に基づき調整される。今回の改定では、2017年のGDP成長率(1.0%)と2018年の実績から予測するINPCに基づき算出された。一方、2020年からは新たな計算方法に基づき最低賃金が定められることになる。最低賃金は、社会保障院(INSS)から主に退職者などに支払われる退職金の一部の基準にもなっており、1月11日付「バロール」紙によれば、当地イタウ銀行の算出では、最低賃金が1レアル上がるごとに、政府の公的支出は3億5,000万レアル増加することになるという。

ボルソナーロ新政権下では、ゲデス経済相が公的支出削減の必要性を強調している。

(辻本希世)

(ブラジル)

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