2018年通年の貿易は過去最高に、安定成長を維持

(中国)

北京発

2019年01月29日

海関(税関)総署の1月14日の発表によると、2018年通年の中国の貿易総額は前年比12.6%増の4兆6,230億4,000万ドルで過去最高となった。うち、輸出は9.9%増の2兆4,874億ドル、輸入は15.8%増の2兆1,356億4,000万ドルで、3,517億6,000万ドルの黒字となった(表参照)。ただし、月次では、輸出入とも11月から前年同月比の伸びが大幅に縮小し、12月にはマイナスに転じた。

表 中国の主要国・地域との貿易額

税関総署による分類に基づいた品目別にみると、原油、天然ガスの輸入量が前年比で増加(輸入価格も上昇)した一方、大豆の輸入量は7.9%減となった。このほか、金属加工機械、携帯電話、自動車の輸出が増加し、集積回路や水産物の輸入が増加した。

対米貿易黒字は3,233億ドル

国・地域別にみると、米国との貿易は輸出が前年比11.3%増の4,784億ドル、輸入が0.7%増の1,551億ドルとなり、3,233億ドル(前年比17.2%増)の黒字だった。日本との貿易は輸出が7.2%増の1,471億ドル、輸入が8.9%増の1,806億ドルで、335億ドルの赤字となった。

2019年の貿易の伸びは減速の見込み

税関総署の李魁文報道官は2018年の貿易について、ビジネス環境の改善や輸出増値税還付率の引き上げ、「一帯一路」沿線国向け輸出の増加、自動車(完成車、部品)および日用品の輸入関税率引き下げなどの要因によって、安定的な成長を遂げたと評価した。商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、2018年の貿易が伸びた要因について、米中貿易摩擦による関税引き上げを見込んだ駆け込み輸出が、一定程度かさ上げしたとの見方を示した(「21世紀経済報道」1月15日)。

李報道官は2019年の貿易について、一連の貿易安定成長のための政策の効果が表れる一方、保護主義の台頭など不確実な要素が依然多いことから、伸びが減速する可能性があるとの見通しを述べた。また、白副所長は、2018年12月の輸出が前年同月比で減少したのは駆け込み輸出の反動によるもので、米中貿易摩擦が沈静化したとしても、すぐに輸出は回復しないだろうとの見方を示している。

(小宮昇平)

(中国)

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