外商投資法(草案)に対する意見募集を開始

(中国)

北京発

2019年01月04日

中国の全国人民代表大会(国会に相当、以下、全人代)は2018年12月26日、ウェブサイト上で外商投資法(草案)に対する意見募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開始した。意見募集期間は2019年2月24日までとなっている。「新華網」(2018年12月26)などが伝えた。

既存の外資3法に代わる基本法との位置付け

傅政華司法部長は2018年12月23日、第13期全人代常務委員会第7次会議において、同草案に関する説明を行った。傅部長は、これまで外資企業の投資に対して適用されてきた外資企業法、中外合資経営企業法、中外合作経営企業法の外資3法では、開放型経済新体制構築のニーズを満たすことが難しいとした上で、外資に関する統一された基本法を制定する、と述べた(「人民日報」2018年12月24日)。

外商投資法(草案)は、総則、投資促進、投資保護、投資管理、法律責任、付則の6章で構成され、合計39条からなっている。ちなみに、全人代は2018年の立法計画で、外資3法に代わる外国投資法の審議を12月に行うとしていた。2015年1月に商務部が意見募集を行った同法(草案)と、外商投資法(草案)の構成を比較すると、表のとおり。

表 2015年の外国投資法(草案)と2018年の外商投資法(草案)の構成

行政手段による強制的な技術移転、違法な外資参入条件設定などを禁止

傅部長の説明によると、外商投資法(草案)には、外資投資に対する参入前の内国民待遇とネガティブリストによる管理制度の実施(注1)、企業支援策の外資企業に対する同様な適用、外資企業の標準化業務および政府調達への平等な参加、外資企業による法に基づく株式や社債の発行およびその他の方式による資金調達、地方政府による外資投資促進策や外資投資に対するサービス水準向上などが規定されている。

また、「人民日報」(2018年12月24日)の報道によると、外資の合法的権益保護の強化についても規定された。特に、行政手段を利用した強制的な技術移転の禁止(注2)、政府による違法な市場参入・退出条件設定の禁止、外資企業の正常な生産経営活動に対する違法な干渉などの禁止、外資企業の権利を守るための訴訟システムの整備、などの内容が盛り込まれた。

今後、意見募集の結果を踏まえて、条文などの修正が行われる可能性もあり、全人代での法案審議の動向が注目される。

(注1)外資系企業の参入が禁止・制限される分野を示すネガティブリストとしては、全国版の「外商投資参入ネガティブリスト(2018年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と、自由貿易試験区に所在する企業にのみ適用される「自由貿易試験区外商投資参入ネガティブリスト(2018年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が存在する。これに加えて2018年12月25日、国家発展改革委員会が「市場参入ネガティブリスト(2018年版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(12月28日公布)を発表した。同委員会は、「外商投資参入ネガティブリスト」が規定する範囲外の分野における外資の投資については「市場参入ネガティブリスト(2018年版)」が適用されるとしている。

(注2)2015年1月に公開された外国投資法(草案)においては、行政手段による技術の強制移転禁止については盛り込まれていなかった。

(小宮昇平)

(中国)

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