TPP11が発効、世界のFTA発効件数は309件に

(世界)

国際経済課

2019年01月08日

ジェトロが1月4日に公表した「世界と日本のFTA一覧」(注1)の最新版によれば、世界の発効済み自由貿易協定(FTA)件数は2018年12月末時点で309件となった(表参照)。

2018年に発効したFTAは5件にとどまり、2017年の10件を下回った。発効件数は鈍化傾向にある一方、地域を横断した国・地域間でのFTA締結の動きは引き続き見られる。2018年12月30日に発効した「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTTP、いわゆるTPP11)や、2019年2月1日に発効する日EU経済連携協定(日EU・EPA)もその代表例だ。

中国は「一帯一路」沿線諸国を中心に、地域横断のFTA交渉を積極的に進める。2018年には中国・ジョージア間のFTAが発効。そのほか、モルディブ、モーリシャスとFTAの署名に至ったほか、スリランカやGCC(注2)加盟国などとのFTA交渉を進めている。

TPP11、中国・ジョージアのほか、2018年にはシンガポール・スリランカ、チリ・ウルグアイ、欧州自由貿易連合(EFTA)・フィリピンの各FTAが新規に発効した。

表 世界の地域・年代別FTA発効件数(2018年12月末現在)

TPP11発効で新たなビジネス期待

TPP11により、世界のGDPの約13%、域内人口約5億人をカバーする巨大な自由貿易圏が創出された。日本は、同加盟国のうちカナダとニュージーランドとは初めてのFTAを結ぶこととなった。その他の加盟国についても、既存のFTAより高い関税撤廃率が約束されている品目もあり、TPP11を契機に新たなビジネスが期待される。

発効に伴い、加盟国全体で工業品関税の86.6%(品目ベース)が即時撤廃されるほか、農林水産物・食品でも多くの品目で関税が撤廃される。電子商取引においては越境データ移転の自由や、データサーバーなどの国内設置要求の禁止、コンピュータプログラムのソースコード開示要求の禁止など、先進的なルールが規定されている。協定では新たな参加国・地域の加盟も認めており、これまでにタイをはじめ、韓国、台湾、フィリピン、インドネシアや英国などが参加に関心を示している。

(注1)世界と日本で発効済み、署名済み、合意済み、交渉中などの段階にあるFTAについて、ジェトロが各協定の概要や進捗状況を一覧にまとめたもの。

(注2)湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートが加盟。

(伊尾木智子)

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