テスラが上海工場を着工、新投資規定で競合企業に影響も

(中国)

上海発

2019年01月16日

米電気自動車(EV)大手のテスラは1月7日、上海市臨港産業区で新工場「ギガファクトリー」の建設を開始した。同社初となる米国以外の工場で、完成すれば年間50万台のEV車を生産する計画だ。ギガファクトリーの総投資額は500億元(約8,000億円、1元=約16円)に上り、製造や販売のほか、研究開発の機能もそろえるという。

2018年7月に新工場建設で上海政府と合意したテスラは、2019年下半期の工場稼働を目指し、させるべく急ピッチで準備を進めている。生産予定の2車種は「モデル3」と「モデルY」で、1期目でまず最も安価な「モデル3」を組み立て、年間25万台の生産を目指す。中国で生産することで輸送費が大幅にカットされ、部品調達費や労働コストなどの低減にもつながり、販売価格が米国からの輸入に比べて3分の1程度安くなることが期待されている。

競合他社の工場新設に影響

国家発展改革委員会は2018年12月、「自動車産業投資管理規定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(以下、規定)を2019年1月10日から施行すると発表した。規定は新エネルギー車を巡る過剰投資を抑制し、新興メーカーの乱立を防ぐことが目的だ。また規定では、同委員会による自動車投資プロジェクトの承認制度が廃止され、地方政府への届け出制に移行する緩和措置が実施されるが、工場新設の基準は高くなった(第17条)。

テスラや上海汽車のような既存メーカーは今回の規制対象になっていないが、省(自治区、直轄市)によっては、当初予定の生産能力に達しない限り、新規の工場建設が禁止される内容となっている。新興EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)はテスラとほぼ同時期に新工場の整備計画を進めているが、今回の規定の影響で早くも計画自体を延期する可能性が浮上している。

(劉元森)

(中国)

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