2019年の経済成長予測は2.0%

(オーストリア)

ウィーン発

2018年12月21日

オーストリア国立銀行(中央銀行)が12月14日に発表した経済予測によると、設備投資と世界経済の減速の影響により、2019年の実質GDP成長率は2.0%となり、2017年と2018年の成長率(いずれも2.7%)は下回るものの、堅調な経済成長が続くとみられる。輸出の成長率は3.8%と予測され、中・東欧向けの輸出が他の地域・国向けの伸びを大きく上回る一方、ドイツに次ぐ輸出相手国であるイタリア向けはシェアが下がると予測した。貿易収支は2019年にGDP比3.5%で2018年を0.1ポイント上回る。国内総固定資本形成は2.6%増で経済成長を下支えする見込みだ。

堅調の経済環境の下、労働市場は、外国人労働者の流入や高齢者の就労の拡大により就業者数が増えるが、失業率は2018年から0.2ポイント改善し4.7%となる。2018年秋に行われた翌年の賃金水準を決定するための団体交渉で金属技術産業は3.5%増、公務員は2.8%増、オーストリア国鉄は3.4%増と、ここ数年で最も高いベースアップに合意、賃金上昇率は2.7%で消費者物価上昇率(2.1%)を上回る。また、2019年に実施される家族向け減税も家計の可処分所得を増加させることから、民間最終消費支出は1.7%増となり、経済成長を下支えすると予想される。

財政状況も改善が続き、2018年に財政収支は均衡し、2019年は1970年代以降初めて黒字となることが予測される。対外債務は、今後も緊縮財政を続けた場合、2021年までに金融危機以前の水準であるGDP比64.8%になる見通しだ。

他方、欧州経済の牽引役だったドイツ経済の減速は、欧州各国の貿易にとって経済成長の下振れリスク要因となっている。オーストリア国立銀行のエワルド・ノボトニー総裁は会見で、ドイツの自動車産業が排ガス不正事件や電気自動車への転換などにおいて新興勢力との競争が激しくなる中で、今後も優位的な地位を維持できるかどうか懸念され、オーストリア経済にとっても潜在的な脅威であると指摘した。

表 オーストリアの主要経済指標

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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