安倍首相、中南米に向けた新たな3方針(連結性強化)を提唱

(アルゼンチン、中南米、日本)

ブエノスアイレス発

2018年12月03日

G20首脳会議でアルゼンチンを訪問していた安倍晋三首相は12月1日、首都ブエノスアイレスで開催された日本とアルゼンチンの国交樹立120周年記念式典で、マウリシオ・マクリ大統領とともにあいさつを行った。

安倍首相は2国間関係における2018年の重要な成果として、同日署名された投資協定、租税条約の実質合意、6月に実現した両国産の牛肉の輸出入開始を挙げるとともに、11月29日に契約調印された国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)とアルゼンチン国立銀行による融資枠(6,000万ドル)設定を通じた日本発のインフラ輸出に期待感を示した。

安倍政権における対中南米政策については、2014年8月に開催された「日本・ブラジル・ビジネス・フォーラム」における安倍首相の講演において、日本が中南米と相携えて協力するために、3つの「Juntos(フントス:共に)」(「発展を共に」「主導力を共に」「啓発を共に」)を指導理念として提唱した。今回のスピーチでは、次のステップとして、日本と中南米の3つの「連結性強化(経済、価値、知恵)」を提唱したことが注目される。

「経済の連結性強化」では、両地域がともに推し進めてきた自由で開かれた経済システムを共に前進させるとともに、日本企業がグローバルバリューチェーン構築に貢献できるよう投資協定などの整備を進めることを明らかにした。「価値の連結性強化」では、国際秩序を守り、ハイレベルな交流を重ねると強調。最後の「知恵の連結性強化」では、環境、貧困、治安、保健衛生、高齢化などといったSDGs(持続可能な開発目標)の主要課題解決には地域を超えた知見の共有が不可欠として、日本は情報通信技術(ICT)、防災などへの対応で経験や知見を活用していくことを期待している。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、中南米、日本)

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