11月の新車販売、年率換算で高水準が続くも前年同月比では減少

(米国)

ニューヨーク発

2018年12月11日

モーターインテリジェンスの発表(12月3日)によると、米国における11月の新車販売の年率換算台数(季節調整済み)は1,749万台となった。前年の販売台数の合計である1,723万台を上回る高い水準だが、前年同月の年率換算台数(1,764万台)に比べると0.9%減少した。

ゼネラルモーターズ(GM)を除く主要メーカー別に、新車販売台数の前年同月比をみると、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)が17.0%増と他社を大きく引き離した。そのほか、スバルが9.8%増、起亜が1.8%増、現代が0.5%増、それぞれ伸びた。一方で、日産が18.7%減、フォードが7.1%減、ホンダ、フォルクスワーゲンがそれぞれ9.5%減、トヨタが0.6%減となった(表参照)。なお、GMを除くこれら主要メーカー9社の合計は前年同月比2.6%減少した。背景として一部金利上昇の影響も報じられている(「ワシントン・ポスト」紙12月3日)。

表  2018年11月のメーカー別新車販売台数(季節調整前)

各メーカーの販売傾向は次のとおり。

  • フォードは、乗用車(19.5%減)に加え、クロスオーバーSUV(CUV)(4.9%減)、ピックアップトラック(2.8%減)も減少した。
  • トヨタは、CUV「RAV4」(23.0%増)が好調だったものの、乗用車「カムリ」(29.9%減)などが全体を押し下げた。
  • FCAは、ラムブランドのピックアップトラック(41.8%増)が大幅に増加し、伸びを牽引した。
  • ホンダは、「シビック」(29.8%減)などの乗用車に加え、SUV「パイロット」(25.7%減)などが押し下げ要因となった。
  • 日産は、乗用車「アルティマ」(36.7%減)に加え、CUV「ローグ」(11.7%減)などが押し下げ要因になった。
  • 現代は、CUV「コナ」(2018年上半期発売)が好調で、伸びに寄与した。
  • スバルは、CUV「アセント」(2018年上半期発売)と「フォレスター」(9.6%増)が好調で、全体を押し上げた。同社の前年同月比は7年連続で増加した。
  • 起亜は、乗用車CUV「スポーテージ」や、「フォルテ」がそれぞれ2桁増で、押し上げ要因となった。
  • フォルクスワーゲンは、VWブランドが乗用車「ゴルフ」などが減少したことで8.3%減となったほか、高級車ブランドのアウディ(11.0%減)が全体を押し下げた。

なお、11月のインセンティブ(メーカーが消費者に提供する割引額)は、1台当たり、前年同月に比べ平均131ドル少ない3,672ドルだった(ALG調べ)。依然として高い水準ではあるものの、足元では3カ月連続で前年同月を下回った。起亜、FCAが前年同月より1台当たり平均でそれぞれ286ドル、153ドル増やす一方で、現代、トヨタ、フォードはそれぞれ437ドル、219ドル、206ドル減少させた。

(大原典子)

(米国)

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