充電スタンド、賃貸施設などにおける自由な売電が可能に

(メキシコ)

メキシコ発

2018年12月26日

メキシコのエネルギー規制委員会(CRE)は12月17日、電力産業法第46条第I項の判断基準を官報公示し、翌日施行した。これにより、電力の最終消費者である法人・個人が所有する施設内で第三者に自由に売電することができる取引形態が明らかになった。法的解釈を明確にすることによって、電気自動車充電スタンドにおける売電など新たなビジネスを活性化させる狙いだ。

同基準によると、電力供給事業者と契約して、電力を購入する最終消費者に所有権がある施設の中で、(同施設の所有権を持たない)第三者に電力を販売する行為が「最終消費者から第三者への許認可を必要としない売電行為」として認められる。具体的には次のとおり。ただし、ビジネス開始から6カ月以内に、CREに対してウェブ経由での届け出が必要だ。

  1. 電気自動車充電スタンド運営業者が電気自動車の所有者などに売電する
  2. レンタルオフィス・アパートの所有者が賃借人に売電する
  3. ショッピングモールの開発業者(所有者)がテナントに売電する
  4. レンタル工場の開発業者(所有者)が入居企業に売電する
  5. 空港など公共施設の所有者(公団など)が携帯電話などの充電サービスを提供する

なお、商業施設などの入居者は、施設所有者から電力を購入する義務はなく、他の供給業者と個別に契約して電力を購入する選択肢もある。また、電力需要が1メガワット(MW)超の場合、「有資格利用者」と呼ばれる大口需要家に分類され、第三者に無許可で売電することはできない。大口需要家には、「有資格サービス供給事業者」の許可がないと販売できないからだ。

安価な電気代を売りにする不動産ビジネスなどが可能に

判断基準の公示により、電気自動車の充電スタンドの増加が見込まれるほか、オフィスや商業施設、工業団地などのデベロッパーがまとめて電力を購入し、賃借人に売電するビジネスの活性化が期待される。電力需要をまとめて1MW以上になれば、有資格利用者となり、供給事業者を自由に選択できるため、CFE(電力庁)以外の有資格サービス供給事業者との契約が可能になる。CFEの商業用・産業用電力価格は、非効率な経営が影響しているのか割高なため、民間の発電事業者から安価な電力を購入して販売することで、入居者に対して他の不動産業者との差別化を図ることも可能になる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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