環境保護庁、2019年の再生可能燃料基準を決定

(米国)

米州課

2018年12月14日

米国環境保護庁(EPA)は11月30日、2019年の輸送用燃料に添加するバイオ燃料の最低使用義務量と、2020年のバイオディーゼルの最低使用義務量に関する最終規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

2006年に大気浄化法に基づいて導入された再生可能燃料基準(RFS)は、2007年エネルギー独立安全保障法(EISA2007)により長期的な目標値が設定され、この計画に沿って、EPAは輸送用燃料におけるバイオ燃料の最低使用義務量を毎年定めている。

今回策定された2019年のバイオ燃料の最低使用義務量は199億2,000万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)と、2018年基準よりも3.2%多いが、2007年のEISA2007によって定められた法定基準よりは約30%少ない。2019年において石油精製業者は、ガソリンおよび軽油に対して、体積比で10.9%以上のバイオ燃料添加が義務付けられる。

続く製油業界と農家との綱引き

米国では自動車の燃費向上に伴い、ガソリンや軽油の消費量が頭打ちとなっており、10%を超えるバイオ燃料の販売は難しくなっている(「10%ブレンドの壁」といわれる)。加えて10%のバイオ燃料を添加したガソリン(E10)は、通常のガソリンよりも自動車の燃料装置を腐食・劣化させやすい性質があり、消費者はより割高なE10対応車を購入することが必要となる。このため、自動車業界や製油業界は、再生可能燃料基準の引き下げを政府に働き掛けてきた。しかし、コーン由来のエタノール削減については、環境保護派に加えてトウモロコシを生産する農家の反発があるため、引き下げは政治的に難しい。

2019年基準では、添加するバイオ燃料のうち、トウモロコシ由来のエタノールを2018年基準の150億ガロンに据え置く一方、先進型バイオ燃料を2018年の42億9,000万ガロンから14.7%増の49億2,000万ガロンに引き上げる。内訳は、トウモロコシ以外のセルロース系原料からのバイオ燃料を2019年に前年比44.8%増の4億1,800万ガロンに、2020年のバイオディーゼル最低使用義務量を、2018年および2019年基準から15.7%増の24億3,000万ガロンに引き上げる(表参照)。

表 米国における再生可能燃料基準

(木村誠)

(米国)

ビジネス短信 a7a4318183126387