CETAの効果で対カナダ輸出が約14%増

(英国、カナダ)

ロンドン発

2018年12月18日

英国政府は12月10日、直近12カ月のカナダへの輸出が前年同期比で13.7%増の61億5,000万ポンド(約8,795億円、1ポンド=約143円)に達したと発表した。今回の輸出増は、2017年9月21日のEUカナダ包括的経済貿易協定(CETA)の暫定適用開始と時期的に一致している、とした。

CETA暫定適用開始までの5年間の対カナダ貿易額の平均上昇率は3.9%にとどまっている。品目別にみると、肉類が36.3%増、ワインが16.6%増だった。カナダとの貿易のゲートウエーはイングランド北西部のリバプール港で、肉類はカナダ向け輸出全体の77%、ワインは47%がここから輸出された。同港では2016年、4億ポンドを投資した拡張計画が完了し、大西洋向けの国内最大級の商業港として重要性が増している。CETAでは物品の98%に掛かる関税が撤廃され、カナダのEU産食品に対する関税のほとんどが即時撤廃、自動車は7年かけて関税(6.1%)が撤廃される

リアム・フォックス国際貿易相は、自由貿易協定は雇用創出、経済成長の加速、消費者により多くの選択肢を与え、「CETAは最も野心的な協定の1つだ。多くの物品に掛かる関税を撤廃することで、自動車産業から醸造所・蒸留所まで幅広いビジネスの輸出を後押ししている」とコメントした。

英国では2018年11月、議会がCETAの批准を承認した。現時点でCETAを批准しているEU加盟国は12カ国で、全加盟国が批准すると暫定適用から正式発効となる。英国、カナダの両首相は、英国のEU離脱後にCETAを速やかに2国間協定に移行していく意向を確認している。

(鵜澤聡)

(英国、カナダ)

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