5州で選挙、国政与党BJPがいずれも敗北

(インド)

ニューデリー、ベンガルール発

2018年12月17日

インド東部チャッティースガル州、中部マディヤ・プラデシュ州、北部ラジャスタン州、南部テランガナ州、北東部ミゾラム州で、11月12日から12月7日にかけて州議会選挙が実施され、12月11日に一斉開票された。モディ首相率いるインド人民党(BJP)は、これまで政権を担ってきたチャッティースガル州、マディヤ・プラデシュ州、ラジャスタン州の3州で敗北し、最大野党の国民会議派(INC)が議席を伸ばした。同3州はBJP支持層が多いとされるヒンディー語圏(通称:ヒンディーベルト)で、3州合計で上院議席245議席中65議席を占めていることから、2019年に予定される総選挙への影響も懸念される。BJP敗北の背景には、農村部においてモディ政権の経済政策の成果が見えづらいことへの不満があるもようだ。

テランガナ州とミゾラム州では地域政党が勝利

マディヤ・プラデシュ州はシブラージ・シン・チョウハン州首相の下、BJPがこれまで3期連続で政権を担ってきた。今回の選挙ではBJPとINCが議席争いを繰り広げたが、最終的にはINCが過半数近い114議席を獲得した(表1参照)。報道によれば、BJPが、不作のため債務返済に苦しむ農民の窮状に寄り添えなかったことなどが一因とされている。

表1 マディヤ・プラデシュ州議会(230議席)の議席内訳

同様に、BJPが3期連続で政権運営に当たっていたチャッティースガル州では、INCが前回から29議席増の68議席を獲得し勝利した(表2参照)。

表2 チャッティースガル州議会(90議席)の議席内訳

ラジャスタン州では、INCが前回選挙から78議席を拡大させて99議席を獲得、BJPから政権を奪取した(表3参照)。同州では、これまでも選挙のたびに政権交代が起きている。BJP敗北の理由としては、同州首相のワスンダラ・ラジェ氏とBJP党首のアミット・シャー氏との政権運営をめぐる見解の相違や、雇用創出などで十分な成果を上げられなかったことなどが報道されている。

表3 ラジャスタン州議会(199議席)の議席内訳

テランガナ州では、政権の座にあったチャンドラシェーカル・ラオ州首相率いるテランガナ州委員会(TRS)が、119議席のうち約4分の3の88議席を獲得し、政権を維持した(表4参照)。TRSの勝因について、複数の政治アナリストが「TRS政権は都市部の有権者を意識した経済政策と、地方の貧困救済策や農村対策とのバランスをうまく取ったことが、今回の圧勝につながった」とした。

表4 テランガナ州議会(119議席)の議席内訳

ミゾラム州では、地域政党のミゾ国民戦線(MNF)が前回より21議席増の26議席と大きく伸ばし、現政権のINCから政権を奪取した(表5参照)。

表5 ミゾラム州議会(40議席)の議席内訳

(古屋礼子、ディーパック・アナンド)

(インド)

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