第3四半期GDP成長率は1.8%も資本流入が大幅減、雇用も悪化

(ナイジェリア)

ラゴス発

2018年12月28日

ナイジェリア国家統計局は2018年第3四半期の実質GDP成長率や資本流入、雇用統計など経済関連統計を12月10日以降に相次いで発表した。

2018年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比1.8%で、2017年第2四半期から6四半期連続のプラス成長となり、前期の1.5%から加速した(表参照)。ただし、石油・ガスを中心とした鉱業部門はマイナス2.8%と前期に引き続き低調で、生産量が伸び悩んだことが要因だ。成長を牽引したのは情報通信部門(12.1%)で、巨大な人口を背景に携帯電話やインターネット市場の需要拡大が後押ししたとみられる。

表 ナイジェリアの主要産業別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

今後の経済見通しの不安材料として挙げられるのは資本流入額。2018年第3四半期の海外からの資本流入額は28億5,521万ドルで、前期比48.2%減と大きく減少した。これまで活発な流入を続け、全体の7割以上を占めていたポートフォリオ投資が前期の半分以下となった(添付資料参照)。米国の政策金利引き上げにより、海外の投機マネーが米国に向かう傾向になったこと、2019年2月に控えるナイジェリア大統領選挙を前に投資家が様子見に入り、短期的投資が一気に減少したとみられ、今後もその傾向は続くことが予想される。

12月19日には雇用統計が2017年第3四半期以来1年ぶりに発表され、失業率は23.1%と前回発表時の18.8%から1年で4.3ポイント上昇した。準失業率(注)は21.2%から20.1%へとわずかに減少したものの、両者を合わせると43.3%となり、人口の半分近くがフルタイムの労働に就けていないことになる。マクロの経済指標は緩やかに上向いている一方で、雇用は悪化しており、景気回復が、人口の増加に追いついていない現実が見て取れる。

(注)準失業率(Underemployment Rate)は、週平均労働時間が20時間以上40時間未満の労働者の割合。

(山村千晴)

(ナイジェリア)

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