ビジネスヨーロッパ、COP24での実施指針採択を評価

(EU)

ブリュッセル発

2018年12月17日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は12月16日、「気候変動に関する国連枠組み条約締約国会議第24回会合(COP24)」(開催地:ポーランド南部・カトビツェ)で、温暖化対策のための新しい枠組み「パリ協定」に関する実施指針(ルールブック)が採択されたことを、前向きに評価する声明を発表した。

EUとしての最優先課題の1つを実現

ビジネスヨーロッパは、欧州企業の多くがビジネスの国際展開を進めており、2020年以降の温暖化対策のための共通ルールの策定が事業の先行きを検討する上で、重要な意味を持つと指摘し、「全ての主要経済圏で共通ルールが適用されることについてのより確かな保証を期待していた」としつつも、今回の結果を「一歩前進」と評価し、温室効果ガス=ゼロまたは低排出に向けた事業活動や投資が活性化するとの見通しを示した。同連盟は、世界的な温室効果ガス排出削減のために、取り組むべき課題は多いとしたが、先進国は野心的な目標設定を行うべきとの姿勢で、「欧州産業界は政策当局といつでも協働する用意がある」としている。

また、欧州委員会は12月16日付の声明で、「パリ協定(の運用)に関するルールブックの策定はEUとしての最優先課題だった」との認識を示した。EUとして定めている温室効果ガスの削減目標である「2030年までに40%削減(1990年比)」を実現するために必要となる、再生可能エネルギー促進やエネルギー効率化などをはじめとした法的措置は全て採択済みで、これらの法的措置が確実に履行されれば、2030年までに(目標を上回る)45%程度の温室効果ガスの削減が実現できるとの見通しを欧州委は示した。

対外的には、世界的な温室効果ガス削減を実現するため、先進国全体で2020年までに官民合わせて毎年1,000億ドルを開発途上国支援のための資金拠出する目標を、EUとして継続支持する姿勢を示し、2017年にはEUや加盟国、欧州投資銀行(EIB)として総額204億ユーロを拠出したことを明らかにした。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 4b632c97f2bafd3f