AI促進のための「デジタルサミット」開催

(ドイツ)

ベルリン発

2018年12月28日

ドイツ連邦政府は2018年12月3~4日、人工知能(AI)に焦点を当てた「デジタルサミット2018」をニュルンベルクで開催した。「ナショナルITサミット」と呼ばれたころから数え、12回目を迎えた今回は「AI- 成長と繁栄のカギ」がテーマとなった。

ドイツ連邦政府は、デジタル化が電気通信技術だけの問題ではなく、産業・社会のあらゆる分野に影響を及ぼすとの認識から、2017年にこれまでの枠組みをより広い側面からデジタル化促進を議論する「デジタルサミット」に発展させた。これを受けて、デジタルサミットは、デジタル改革の推進に向けて、関連するさまざまな分野の専門家が一堂に会する場となった。今回もアンゲラ・メルケル首相のほか、ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相、カタリナ・バーリー司法・消費者保護相、アンドレアス・ショイアー交通・デジタルインフラ相、アーニヤ・カーリクチェック教育・研究相ら、関連省庁のトップのほか、政財界の代表者約1,100人が参加し、デジタル化時代がもたらすチャンスをつかむべく、カンファレンス形式で議論を深めた。

加えて、展示エリアでは、電動航空機、医学分野における患者個々に最適化したパーソナライズ治療、AIを利用して安全性や快適さを向上させるスマートライフ、の3つの展示により、AIがいかに日々の生活を豊かにするかをも提案している。

なお、ドイツ連邦政府は11月中旬に開催したポツダムでの閣議において、「AI戦略」を決定した。AI先進国である米国と中国と並ぶドイツを目指し、2025年までにAIの開発にさらに30億ユーロを投資することが定められているほか、AIの専門家の育成に向けて新たに100人の教授ポストを創出するとしている。「ドイツは、AIの研究と応用分野のリーダーの中の一国でなければならない」と、ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は述べた。ドイツ連邦政府は、7月下旬にAI戦略の策定に向け、礎石となる政策方針を決定しており、AI戦略は、これに基づいて立ち上がった6つの専門委員会による議論を踏まえて策定されたもの。ドイツは、「インダストリー4.0」の立ち上げに代表されるように、省庁・業界横断的なプロジェクトを立ち上げる仕組みづくりにたけている。

(増田仁、望月智治)

(ドイツ)

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