政府はルノー・日産アライアンスの安定確保に注力

(フランス)

パリ発

2018年11月21日

日産会長でルノーの取締役会長でもあるカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されたことが伝えられた11月19日夜、ベルギー訪問中のマクロン大統領はブリュッセルにおける記者会見で、「事実関係について言及するには早過ぎる」とした上で、「(フランス政府はルノーの)株主として、グループおよび今後の日産とのアライアンスの安定には極めて強く注意を払う。グループの全従業員の安定も株主として支援する」と述べた。

ブリュノ・ルメール経済・財務相は11月20日朝、ニュースラジオ番組「フランスアンフォ」に出演。「昨日のマクロン大統領の発言どおり、ルノーグループとルノー・日産アライアンスの安定が先決。ゴーン氏はルノーグループを率いる状況にないため、本日午前中にフィリップ・ラガイエット氏はじめルノーの取締役会のメンバーと面談し、早期の臨時経営体制づくりを求める」とした。

一方で、「証拠がない限り、(ルノー会長職の)正式な解任を求めない」とし、「昨日、ゴーン氏のフランス国内における納税状況のチェックをジェラルド・ダルマナン行動・公会計相と経済・財務関係各局に指示したが、今のところ不正は認められていない」と話した。

自動車業界では自動運転、電気自動車、燃料電池など技術革新が進み、競争力維持のために巨額の投資が必要とされる中、ルメール経済・財務相は「ルノー・日産アライアンスを存続させるだけでなく、さらに強固なものにする必要がある」と強調。「ルノー・日産アライアンスの将来を保障するため、全ての関係者と連絡を取り、対応していく」意向を示した。

ゴーン氏逮捕のニュースが伝えられた19日、パリ株式市場でルノーの株価は8.4%下げた。市場ではルノー・日産アライアンスの今後を懸念する声も聞かれる。

(山崎あき)

(フランス)

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