ブレグジット後のビジネス環境整備へ5つの協議会を設立

(英国)

ロンドン発

2018年11月09日

テレーザ・メイ首相は、EU離脱(ブレグジット)後の英国内のビジネス環境整備に向けて、産業界から助言や政策提言を受けるために5つの協議会を発足させ、11月7日に協議会との初会合を開催した。同協議会は産業分野ごとに5つに分類され、それぞれの分野を代表する企業のトップが議長を務めるほか、業界団体の代表も参加している(表参照)。各協議会は今後、首相と年2回、関係閣僚と年1回の頻度で会合を持つことになる。

表 協議会の概要

メイ首相は「ブレグジットは国内経済をより良く、より強くする機会となる」とし、産業界との連携によって英国のビジネス界が今後直面していくチャンスと課題に対応していく、と語った。

現地報道によれば、メイ首相はデイビット・キャメロン前首相よりも、産業界と距離を置いてきたという。キャメロン前首相時代は、定期的に産業界の諮問グループを招集していたが、首相交代後に解散し、今回新たに協議会が発足、招集されることとなった。

ブレグジットまで残り5カ月を切り、産業界がビジネスへの影響に対する懸念を募らせる中、政府は産業界との距離を縮める姿勢をみせている。メイ首相とフィリップ・ハモンド財務相は10月31日には英国企業150社のトップを招集し、ブレグジット交渉の進捗説明、企業との対話の機会を設けた。翌11月1日には、英国企業に加え、ドイツやスペインなどの欧州企業を招いて、交渉状況の説明と対話を行った。また同日には、2017年11月に発表した産業戦略(2017年12月28日記事参照)の実施状況をモニタリングする、独立諮問機関「産業戦略協議会」の設立を発表している。

他方、11月4日付の現地紙「サンデー・タイムズ」は、EU離脱に関する2回目の国民投票を政府に求める書簡には、70人以上の企業トップが署名したと伝えている。

(木下裕之)

(英国)

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