ロスネフチ、「サハリン1」の提訴を取り下げ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月05日

インタファクス通信は11月2日、ロシアの石油採掘大手ロスネフチがサハリン州での天然ガス・原油採掘事業「サハリン1」のパートナー(参加)企業に対する提訴を取り下げたと報じた。同事業には日本の官民も出資している。

ロスネフチは、所有する鉱区(チャイボ北端鉱区)の埋蔵原油が、同一油層を通じ隣接する他鉱区へ移動したことで損害が発生し、パートナー企業に不当な利得があったとして、7月に5社を相手取り891億ルーブル(約1,514億7,000万円、1ルーブル=約1.7円)の支払いを求めて提訴していた(2018年7月24日記事参照)。

審理は9月10日に開始される予定だったが、ロスネフチ側の申し立てにより60日延期された。ロスネフチは訴訟と並行して和解協議を進め、9月末にはパートナー企業がロスネフチ側へ2億3,000万ドルを支払うことで合意したと伝えられていた(「ベドモスチ」紙10月1日)。ロスネフチが請求額の約6分の1の減額に応じた背景には、同社に損害規模を証明できる十分な証拠がなく、裁判が長引き訴訟費用を増大させたくなかったという事情があったとされる。

「サハリン1」事業にはロスネフチのほかに、米石油大手エクソンモービルの子会社、日本の官民が出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)、インド石油天然ガス公社(ONGC)などが参画している。

(市谷恵子)

(ロシア)

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