ダイソン、初のEV生産拠点をシンガポールに

(シンガポール)

シンガポール発

2018年11月06日

家電大手ダイソン(英国)は10月23日、同社初となる電気自動車(EV)の生産拠点をシンガポールに設立することを発表した。2020年までに完成させ、翌年から生産を開始する見込み。同社は2017年9月、約20億ポンド(約2,880億円、1ポンド=約144円)を投じ、EV開発および生産へ参入することを発表していた。

ダイソンによれば、シンガポールは高コスト国であるものの、サプライチェーンの充実、周辺国市場へのアクセスの良さ、高度人材の採用の容易さが設立の決定要因になったという。同社は英国での事業コスト増大により、2000年代初頭に生産を休止し、マレーシア、フィリピン、中国などアジアを中心に生産拠点を移管してきた。マレーシアでは約1,300人、中国では約1,000人、フィリピンでは約800人を雇用している(「フィナンシャル・タイムズ」紙10月24日)。

シンガポールでは、「デジタルモーター」などの基幹部品を製造する。2017年2月には研究開発拠点として「シンガポール・テクノロジーセンター」を設立し、約1,100人のエンジニアや研究者を雇用しているという。

リー・シェンロン首相は10月23日夜、フェイスブックで、9月にダイソンの創業者ジェームズ・ダイソン氏と会談し、ダイソン氏がシンガポールは先端製造技術、グローバルなコネクティビティー、人材の質で優位性があると首相に伝えたことを明らかにした。首相は、ダイソンが地元教育機関と連携し次世代のエンジニア育成に取り組んでいることも紹介した。

(藤江秀樹)

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