極東の経済特区、インフラ整備に連邦予算を追加支出

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月21日

ロシア政府は極東の経済特区「優先的社会経済発展区域(TOR)」のインフラ整備に138億7,000万ルーブル(約235億7,900万円、1ルーブル=約1.7円)の追加予算を投じることを決定した。同区域には日系企業も進出しているが、インフラの未整備などが指摘されている。

連邦政府は11月20日、政府決定第1381号(2018年11月16日付)「ロシア連邦政府の複数の法令の変更について」を発表。極東に位置するTORのうち6カ所のインフラ整備に係る予算を増額する。「必要不可欠なインフラや新しい投資家誘致のための環境を提供し、建設、農業、工業生産、観光、航空輸送、造船、住宅建設、天然資源加工、漁業、物流分野での投資計画を実現する」ことが目的。同決定の作成は極東発展省が行い、「TOR6カ所に現在・将来入居する企業の投資計画実現のため、エネルギー、エンジニアリング(設計)、輸送インフラを創出する」と説明している。対象となるTORと予算額は表のとおり(各TORの所在位置については2017年8月15日付地域・分析レポート参照)。

表 インフラ整備予算が追加されたTORと予算額

連邦政府はロシア極東の社会経済基盤発展のため、優遇税制措置などを講じTORへの国内・外国企業の誘致を進めている。今回予算増の対象となったTORのうち「ナデジディンスカヤ」と「ハバロフスク」では日系企業が事業展開を行っている(2016年6月1日記事参照)。その一方で、TOR対象地域のインフラが十分整備されておらず、入居企業側で費用負担を強いられるケースがあるなど、投資の阻害要因になっているとの認識が広まっており、国際会議や2国間会合の場などでも問題提起されていた。

(高橋淳)

(ロシア)

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