商用車に焦点、国際モーターショーがハノーバーで開催

(ドイツ)

ベルリン発

2018年10月15日

ドイツ北部のハノーバーで9月20~27日、IAAハノーバー国際モーターショーが開催された。このモーターショーは、フランクフルトで開催される乗用車のモーターショーと交互に隔年開催され、商用車に焦点を当てている。モビリティー、輸送、ロジスティクスの各分野での展示が行われ、48カ国2,174社が出展した。出展者のうち60%が国外からだった。

国外からの出展者としては、中国からが最も多く、上海汽車集団(SAIC)、比亜迪(BYD)などの完成車メーカー7社を含む252社が出展した。2番目はイタリア(137社)で、オランダ(135社)、トルコ(126社)、フランス(101社)と続いた。日本企業も日本から4社のほか欧州現地法人などが出展した。来場者は前回を上回る約25万人となった。54カ国から2,100人以上のジャーナリストが訪れ、2日間の報道機関向け公開日には80回以上の記者会見が行われた。また会期中4日間、20のセミナーとパネルディスカッション、100人以上の講演者による大規模な国際会議が開催された。

写真 電動トラックで環境への配慮を訴える展示(ジェトロ撮影)
写真 EV化を意識した自動車部品が目立った(ジェトロ撮影)

モーターショーでは、eモビリティー(交通・運輸の電化)、デジタル化、コネクティビティー(車が外部のシステムに接続されること)、自動運転、都市物流が注目テーマだった。

eモビリティーの分野では、電気自動車(EV)の商用車が展示されていた。最寄りの物流拠点と配達先をつなぐ貨物用電動バイクは、小回りが利く、環境にやさしい短距離輸送としての活用が期待される。さらに、ブレーキを踏む際に生まれるエネルギーを高電圧バッテリーに蓄え、次回に始動する際に利用できる電動バイクも展示されていた。

デジタル化のトレンドは、トラックやバスのメーカーからトレーラー業界、大・中そして小規模のサプライヤーに至るまで、ほぼ全ての出展企業に見られた。例えば、トラックの外側のミラーが「ミラーカム(カメラモニタリングシステム)」となっている展示などがあった。

写真 都市物流をイメージしたコンセプトカー(ジェトロ撮影)

都市物流では、eモビリティーとデジタル化の双方が推進の両輪となる。オンラインショッピングの配送が増える中、運輸業と消費者の双方に高い利便性をもたらすため、小回りが利き、効率的でかつ環境にやさしい流通が求められており、こうした流通構造の構築に貢献する展示も多く見られた。

写真 水素燃料の商機に挑む静岡県の企業も出展(ジェトロ撮影)

2019年9月12~22日には、フランクフルトで乗用車向け、2020年9月24日~10月1日には、ハノーバーで次回の商用車向け国際モーターショーが開催される。

(増田仁)

(ドイツ)

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