カカオ豆の生産者買い上げ保証価格を引き上げ

(コートジボワール)

アビジャン発

2018年10月10日

世界最大のカカオ豆生産国であるコートジボワールで10月1日、2018/2019収穫年度のカカオ豆出荷が始まった。コーヒー豆およびカカオ豆の生産・加工・流通を一元的に管理するコーヒー・カカオ評議会(CCC)は、新年度(2018年10月1日~2019年3月31日)のメインクロップの生産者買い上げ保証価格(1キロ当たり)を前年度より50CFAフラン(約10円、1CFAフラン=約0.2円)引き上げ、750CFAフランに設定した。

買い上げ保証価格の引き上げよって、カカオ取引にかかる各種税や課徴金に大きな変更はない。しかし、新年度から売り渡しFOB価格の1.5%に相当する輸出登録税の徴収が再開される。

今後はガーナと生産者価格を調整へ

CCCによると、農家に対する買い上げ価格は主に、先物契約と市場動向を反映して決定される。加えて今後は、世界2位のカカオ生産国であるガーナとカカオ商業化政策の調和を図っていくため、両国間の生産・価格調整が加味される予定だ。

CCCは当初、2017/2018収穫年度のカカオ生産見通しについて、主要生産地帯である西部地方の降雨不足と、農民の資金不足による植物衛生管理の悪化などで、前年を大きく下回ると予測していた。しかし、当初の予測を覆して天候が良好だったことから、生産量は約200万トンに達する見通しだ。これによる農業所得は1兆3,560億CFAフランが見込まれている。

一方、カカオウイルス病対策で、今後3年間に10万ヘクタールのカカオ農園を廃止することから、新年度の生産は前年度を下回るものの、収率の向上が見込まれており、生産者価格の引き上げとともに、農業所得は前年度より1,000億CFAフラン増加すると予測している。

国際カカオ機関(ICCO)が8月に発表したレポートによると、2017/2018年度カカオ豆の世界生産量は464万5,000トン(前年比2%減)、磨砕量は456万8,000トン(3.9%増)、在庫は175万7,000トン(1.8%増)、供給余剰は3万1,000トンと予測している。国際市況は、2017年に入って上昇基調にあったが、英国のEU離脱(ブレグジット)による為替の影響に加え、投機筋のテクニカル要因での売りも重なり、相場は8月以降、値動きが大きくなっている。

カカオ産業はコートジボワールのGDPの約15%、輸出額の約35%を占める主要産業だ。コーヒー・カカオ農家は全国で80万戸を数え、加工・流通など関連部門を含め約800万人が同産業で生計を立てている。そのため、これら一次産品の国際市況の動向は依然、経済に大きな影響を与えている。政府はカカオの国際市況の変動に左右されない産業構造・経済システムの構築を目指し、現在35%のカカオ豆の現地加工率を、2020年までに50%まで引き上げる目標を立てている。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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