IMFがアルゼンチンの2018年GDP成長率をマイナス2.6%に下方修正

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年10月22日

IMFは10月9日、世界経済見通し(WEO)を発表したが、その中で2018年のアルゼンチンの実質GDP成長率見通しをマイナス2.6%として、前回見通し(2018年4月)の0.4%から3.0ポイント下方修正した(表参照)。また、2019年もマイナス1.6%と、前回の1.5%から3.1ポイント下方修正した。一次産品の生産減と通貨切り下げに端を発した経済低迷の中、政府としては財政再建を最優先課題として取り組むこともあり、マクリ大統領任期中の経済成長率は厳しい見通しとなっている。

表 アルゼンチン経済見通しの比較

前回見通しでは、既に約半世紀ぶりの干ばつによる大豆の生産量の落ち込みを織り込んでいたが、その後の通貨下落や政策金利の引き上げによる実体経済の影響が今回の下方修正の要因となった。IMFは、経済の不透明さの克服のために、財政負担の軽減の必要性を指摘している。

IMFは今回の見通しで、消費者物価上昇率を2018年40.5%(前回から13.5ポイント増)、2019年20.2%(3.2ポイント増)、失業率を2018年8.9%(0.4ポイント増)、2019年9.4%(0.8ポイント増)とした。消費者物価上昇率は、2018年に前年と比べて大幅に悪化するものの、2019年にはやや落ち着きを取り戻すとの見通しとなっている。一方で、大統領選挙を迎える2019年に、失業率が増加傾向になることは、与党にとって少なからず逆風になるとみられる。

なお、アルゼンチン主要各紙は10月16日、IMFが左派政権時代に閉鎖したアルゼンチン事務所を、11月より中央銀行内に再開すると報じている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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