アウンサンスーチー氏、投資誘致セミナーで環境整備を約束

(ミャンマー、日本)

アジア大洋州課

2018年10月10日

ミャンマーのアウンサンスーチー国家最高顧問、タウントゥン投資委員会(MIC)委員長らが10月8日、都内で行われたジェトロ主催(在日ミャンマー大使館共催)の「ミャンマー・投資カンファレンス」にて投資誘致をアピールした。同最高顧問が経済関連のセミナーに出席するのは極めてまれで、日本では今回が最高顧問が登壇する初の投資誘致セミナーとなった。

写真 講演するアウンサンスーチー国家最高顧問(ジェトロ撮影)

アウンサンスーチー国家最高顧問は講演の中で、2016年3月の政権交代以降、経済発展の追求に加え、政治的な安定に十分配慮しながら内政を運営してきたと強調した。その上で、持続可能な開発のためには、(1)国内和平および国民和解、(2)安定的なマクロ経済運営、(3)雇用創出および民間セクター開発、(4)質の高い教育や医療を含めた人的能力の開発、(5)天然資源管理および自然環境保護が重要と述べた。

同最高顧問は、これまでミャンマー政府が取り組んできた投資環境整備への取り組みとして、シングルウインドーシステム(Single Window System)による一括投資手続きや、企業登記の新システム(MyCO)についても紹介した。特に前者は、ミャンマーと日本が共同で開発したティラワ経済特区で先行的に導入され、同特区の開発は2国間での象徴的な成功事例の1つとした。また、「東南アジアのラストフロンティア」と称されるミャンマーには多くのビジネスチャンスがあふれており、今後も政府として国内のビジネス環境整備に全力で取り組んでいく所存で、海外からの責任ある投資を期待すると述べた。

加えて、10月から日本人に対してミャンマーへの入国ビザが免除されたこと(2018年9月27日記事参照)にも言及し、「ミャンマーと日本との企業間交流に加え、一人でも多くの日本の友人たちにミャンマーに来て、ぜひ自身の目で活性化する経済を見てもらいたい」と訴えた。

講演の後半では、ラカイン州での少数民族問題についても言及し、同地で起きている困難な問題を認めつつも、和平の実現に向け引き続き取り組んでいく姿勢をあらためて示した。

(水谷俊博)

(ミャンマー、日本)

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