縫製・製靴業ワーカーの最低賃金、2019年は月額182ドルに

(カンボジア)

プノンペン発

2018年10月16日

カンボジア労働職業訓練省は、2018年10月5日付省令(Prakas)No.396 KB/Br.Kを公布し、縫製・製靴業に従事するワーカーの2019年最低賃金を月額182ドル(試用期間中は177ドル)と定めた。現行の170ドルから約7.1%の上昇となり、前年の11.1%増に比べ上昇率は抑制された。

9月10日から5回にわたる労働諮問委員会での協議の末、今回の結論に至った。当初の最低賃金案として、政府側は177ドル、雇用者側は175ドル、労働組合側は211ドルを提案していたが、最終決定の前日の協議では政府側と雇用者側は177ドル、労働組合側は189ドルと調整が進んでいた。

カンボジア縫製業協会(GMAC)は、最低賃金の計算に用いられる統計に基づく基準および公式(注)には幾つかの異なる見解があると指摘。それに対し、政府はインフレ率と生産性向上率のような明確な基準に基づいて計算していると反論していた。

またフン・セン首相も、国民議会選挙後の9月に行った縫製工場訪問時のワーカーを前にした演説で、「最低賃金の過度な上昇は企業の倒産を招くことになる可能性がある」と語り、急激な賃金の上昇を牽制していた。

(注)カンボジア政府が労働諮問委員会に提出する最低賃金案の算出に当たって、2016年分の賃金改定から客観的項目に基づく「算出式」を使用している(2016年11月9日記事参照)。

(磯邊千春)

(カンボジア)

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