自社利用目的の輸入でも特定品目には公式規格適用を義務付け

(メキシコ)

メキシコ発

2018年10月26日

メキシコ経済省は10月23日、貿易に関する一般規則と判断基準を定める経済省令(通称「経済省貿易細則」)の別添2.4.1(「NOM省令」)の改定を官報公示した。同省令により、輸入者自らが利用することを理由に、メキシコ公式規格(NOM)対象品目の輸入時における履行を免除する措置について、特定NOMの対象品目については2019年3月第1営業日から、例外自由としての適用を認めない規定を導入した。

NOMは、製品やサービスの安全性、衛生、労働、省エネ、環境保護、測定方法、情報表示など幅広い分野について履行を義務付ける強制規格で、その幾つかは対象品目の輸入時に適合を義務付けている。輸入時にNOM適合が義務付けられる品目については、NOM省令に関税分類(HS)コード別に適合が義務付けられるNOMのコードなどが記載されている。対象品目の輸入時に、税関にNOM適合証明書を提示する義務を免除する事由を定めている第10則の改定案は、既に2017年9月末から連邦競争改革委員会(COFEMER)のウェブサイト上で公開されており、パブリックコメントを公募していた(2017年11月6日記事参照)。さまざまな反対意見が提出されたこともあり、官報公示が遅れていたが、1年超を経てようやく正式に公布された。

PROSEC登録企業が自社利用する場合は免除

日本からの輸入が多く、今回の措置の影響を大きく受けそうなのは、かご形三相誘導モーターだ。出力0.746~373キロワット(kW)のかご形三層誘導モーターの省エネ規格であるNOM-016-ENER-2016は、国際電気標準会議(IEC)が定めるモーターの効率クラスで「IE3」(プレミアム)に相当するモーターの販売を義務付ける、最低エネルギー消費効率基準(MEPS)で、日本で以前に販売されていたモーター(中古モーターなど)はこの規格を満たさないことがある。

NOMを満たさない製品であっても、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス業振興プログラム(IMMEX)などを用いた一時輸入であれば、適合証明書の提示は免除される(NOM省令第10則X項のa)。さらに、今回公布されたNOM省令の改定に基づき、確定輸入であっても、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)に登録している企業が、同プログラムを活用した製造のために用いるものであれば、適合証明書の提示は免除される(同10則X項のh)。従って、PROSEC登録企業が自社の生産設備に用いるモーターを輸入する場合は、従来どおり適合証明書を提示することなく輸入することが可能だ。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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