アブダビ首長国が大規模経済対策を発表

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2018年10月01日

アブダビ首長国は石油に依存しない経済の実現に向けて経済成長率を高めるため、2018年6月に、今後3年間で景気刺激対策に500億ディルハム(約1兆5,500億円、1ディルハム=約31円)を投じることを発表していた。その具体的なイニシアチブなどがこのたび発表され、2019年はそのうち200億ディルハムが割り当てられた。

「Ghadan21(アラビア語で明日)」と呼ばれるこのプログラムは、「ビジネス・投資」「知識・イノベーション」「社会」「ライフスタイル」に分かれ、50以上のイニシアチブが含まれる。

主要パートであるビジネス・投資はさらに、事業環境の改善、中小企業の支援、民間セクターの強化、透明性の向上・民間企業との関係性の構築の4つに分かれ、約30のイニシアチブがある。具体的には、アブダビでの事業活動に必要なライセンスの発行の迅速化や建築規制の見直し、中小企業向けの低金利ローンなどがある。また、新しい官民パートナーシップ(PPP)法がまもなく発効し、3~5件の新しいPPPプロジェクトが2019年第1四半期までに入札にかけられるという。

「知識・イノベーション」は、研究開発(R&D)センターの支援、高度人材の誘致・育成、テクノロジー企業・付加価値の高い技術関連投資の誘致の3つに分かれ、16のイニシアチブが含まれる。具体的には、大学やスタートアップ企業のR&D事業への融資、研究開発しやすい環境の構築、批評力のある教授のヘッドハンティング、高度人材へのビザ優遇措置などが含まれる。「社会」は、雇用拡大、住宅開発、教育の質の向上などが、「ライフスタイル」には、生活の質の向上のためのインフラ整備などが含まれる。

専門家らは、原油価格の低迷以降、支出を抑えてきた政府による今回の大規模な経済対策は、すぐに大きな効果が表れるだろうと予測している。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦)

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