EUとACP諸国、新協定に向けた交渉開始

(EU、アフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)諸国)

ブリュッセル発

2018年10月10日

欧州委員会は9月28日、EUとアフリカ・カリブ海・大洋州(ACP)諸国との協力関係を定めたコトヌー協定に代わる、2020年以降の協力関係の構築に向けた新協定の交渉を開始した。コトヌー協定は、2020年3月1日に失効することが定められている。

ニューヨークで実施された政治レベルでの交渉第1回会合に当たり、EU側の首席交渉官を務める欧州委のネベン・ミミツァ委員(国際協力・開発担当)は「EUとACP諸国の協力関係は、EUだけでなく、多国間主義全体にとっても財産だ。現行の協定の改定は、協力関係を深化させ、グローバルな変化に対応して協定を近代化する良い機会となる」と強調した。

一方、ACP諸国の首席交渉官、トーゴのロベール・ドュセ外務・協力・アフリカ統合相はACP諸国とEUの協力関係が1975年のジョージタウン協定までさかのぼることに触れた上で、「(新協定の)交渉の開始は、今後とも続く双方の信用と信頼の先駆けとなるものだ」と期待感をにじませた。

移民問題や気候変動対策がEU側の重要項目に

欧州委は、EUとACP諸国を取り巻く環境が大きく変化したことを受けて、新たな状況に対応し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や気候変動に関するパリ協定などに基づいた現代的な課題設定に関する包括的な政治合意を目指すと表明。強力な協力関係により、経済成長や雇用創出、移民と安全保障など、EUとACP諸国の双方が直面する課題の解決策を模索する。

交渉に当たってのEU側の主な戦略的重要項目は次のとおり。

  • SDGs達成とあらゆる貧困の撲滅に向けた取り組みの加速
  • 平和、安全保障、司法、テロ対策を通じたより強い国家と社会の構築
  • 民間部門の成長の支援とさらなる地域統合
  • 人権と基本的な自由、民主主義、法の支配と良き統治(グッドガバナンス)の促進と順守
  • 人の移動の管理と移民問題
  • 温室効果ガスの排出削減に向けた支援および気候変動に強い経済の構築
  • 環境における持続可能性の実現と天然資源の持続可能な管理

(村岡有)

(EU、アフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)諸国)

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