月額最低賃金は全国一律で1,050リンギに、2019年初から導入

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年09月12日

マレーシア政府は9月5日、最低賃金を全国一律で月額1,050リンギ(約2万8,350円、1リンギ=約27円)に引き上げることを発表した。導入は2019年1月1日からとなる。

現行の最低賃金は2016年7月1日に改定されたもので、マレーシア半島部で月額1,000リンギ、東マレーシア(サバ州、サラワク州、ラブアン島)で月額920リンギと、地域別に最低賃金を設定していた。最低賃金の引き上げおよび全国統一化は、マハティール政権が掲げた「政権交代後100日で取り組む10の公約」の1つに挙げられており、100日はわずかに過ぎたものの、当初計画に沿って実現された。

マレー半島部の引き上げ幅は5%

今回の引き上げによる月額増加額は、マレー半島部は50リンギ(5.0%増)、東マレーシアは130リンギ(14.1%増)となった。東マレーシアの引き上げ幅は前回とほぼ同じだったが、マレー半島部は産業界の予想よりも小幅の引き上げとなった(表参照)。しかし、新政権は5年間の任期中に1,500リンギへの段階的な引き上げを目指しており、マレーシア進出日系企業の経営上の大きな課題の1つである、賃金上昇によるビジネスコストの上昇が、引き続き懸念される。

表 マレーシアの最低賃金の推移

首相府の声明は、「最低賃金の引き上げは現在の経済情勢に合致したもの」として、産業界や国の競争力に影響するような極端な引き上げではないことを強調した。他方、最低賃金の引き上げとともに公約で明示していた、政府が最低賃金引き上げ額の半額を補助するという案については、財政状況を理由に、政府は実施しないことを決定している(「ザ・エッジ」紙9月5日)。

(田中麻理)

(マレーシア)

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