投資を促すための国家補助が2年ぶりに再開

(ルーマニア)

ブカレスト発

2018年09月28日

ルーマニア財務省は9月10日、投資補助制度の1つである「経済に大きな影響を与える投資を促すための国家補助(政令2014年807号)」の申請受け付けを約2年ぶりに再開した。同制度は、企業による工場の建設や拡張、機械調達、新たな生産技術開発などに対する投資の支援が目的だ。

2014~2020年の予算総額は約6億ユーロだが、その約25%に当たる1億4,500万ユーロが2018年度(暦年)予算として割り当てられた。2017年度は同補助金の申請募集が実施されなかったため、前年度から引き継いだ予算が多めに配分された。今回は最大で300社が支援対象になり、1社当たりの補助上限額は地域により異なる。具体的には、ブカレスト市が750万ユーロ、イルフォフ県(ブカレスト周辺)と西部4県(ハンガリー国境付近)が2,625万ユーロ、その他の県は3,750万ユーロとなっている。

2018年度の募集では、従来は申請期間が定められていたが、今回は特に期間が限定されず、予算がなくなるまで募集を受け付ける。また、提出すべき投資計画書が簡略化され、企業自らの投資最低額は1,000万ユーロから300万ユーロに引き下げられた。これは、過去の採択案件の多くが大手外資による大型投資で、ルーマニアの中小企業に裨益(ひえき)しないとの批判が多く寄せられていたためだ。加えて、これまでは補助認定前に既に投資が開始されている案件は対象外だったが、今回はそれらも含めて申請可能となっている。

2017年までに計11件のプロジェクトが採択され、4,000人を超える雇用創出が見込まれている。具体的な採択例として、大手製造業へのグリーンフィールド投資(ドイツのシーイーアール・クリーニングエクイップメント、ベルギーをグループ本部とするソナカ・エアロスペース・トランシルバニア、スイスのアルメンツィケン)、工場拡大(ドイツのボッシュ・レックスロス、トルコをグループ本部とするアークティック、ドイツをグループ本部とするのレオニ・ウィリング・システムズ)、新たな生産技術(ルーマニアのオートモービル・ダチア)などが挙げられる。

同補助金制度は、政府による補助額が大きいため、倍率もそれなりに高いが、今後ルーマニア進出を目指す日系企業も活用できる制度だ。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

ビジネス短信 e32ee4d2a814797b