医療版ヘルスケアのサンドボックス、登録事業者が拡大

(シンガポール)

シンガポール発

2018年09月25日

シンガポール保健省(MOH)は、新たな医療サービスのモデルを一定の環境下で実証実験する「医療版レギュラトリー・サンドボックス」を実施している。同サンドボックスは、2018年4月から開始している「ライセンシング・エクスペリメンテーション・アンド・アダプテーション・プログラム(LEAP)」に基づくもの。保健省のウェブサイトによると、「遠隔医療・モバイル医療」分野のサービス事業者として新たに4社が追加され、これにより登録事業者は計6社となった(表参照)。

表 遠隔医療およびモバイル医療のサービス事業者

MOHが2018年4月に導入したLEAPは、ヘルスケア分野における革新的なビジネスモデルに対し、一定期間の実証実験を認めるもの。MOHは、「遠隔医療・モバイル医療」が同国の医療サービスの柱の1つになるとみている。LEAPは「ヘルスケア・サービス法」に基づき、遠隔医療とモバイル医療が正式にライセンス発行されるまで実施される。

MOHの定義によると、「遠隔医療」は電話、スカイプ、メッセージアプリなどを利用して診察を受けることができるもので、他方、「モバイル医療」は往診や移動式診療所(モバイルクリニック)、歯科バス(デンタルバス)など、病院や診療所に行くことができない患者の下に、医療機関側が駆け付ける。これらにより、医療の利便性・アクセス向上が見込める。

今回、新たにLEAPにおいて「遠隔医療」に参加したスタートアップのドクター・エニィウェアは、2015年に設立された。同社は、携帯アプリを通して、いつでも数分以内で患者と医師や専門家をつなぎ、総合診療、授乳相談、美容アドバイスに関するビデオ相談サービスを提供する。

「モバイル医療」分野に参加したオンデマンド往診サービスのスピードックは、2017年3月に設立したスタートアップだ。患者は携帯アプリなどを利用し、いつでも往診を依頼できる。スピードックに登録した開業医は、患者が指定した場所に往診する。食生活相談など予防ケアもサービス対象だ。

(源卓也)

(シンガポール)

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