労働党の支持団体から2回目のブレグジット国民投票求める声も

(英国)

ロンドン発

2018年09月04日

野党・労働党は、9月23~26日に党大会を開催する。大会では、英国のEU離脱(ブレグジット)について2回目の国民投票実施の是非が議題の1つとなる可能性がある。

労働党の影のEU離脱相であるキア・スターマー議員は8月23日、政府のブレグジットへの対応について否定的なコメントを発表した。政府が発表した、合意なくEUから離脱する「ノー・ディール」に備えるガイダンス(2018年8月24日記事参照)と、これに関するドミニク・ラーブEU離脱相の声明に対して、「離脱相の声明は、政府が単純にノー・ディールへの準備ができていない現実をさらけ出したもの」「内容が薄く、離脱による深刻な影響を閣僚がどう緩和しようとしているのかが分からない」と批判した。

「ガーディアン」紙(8月23日)によると、スターマー議員は、政府がEUとどのような合意をした場合でも、議会で労働党は反対するとの見解を示し、反対票が上回った場合、次にどうするのかを決定することが議会の義務だと述べたという。この点に関し、「2回目の国民投票を求めるわけではないが、議会でEUとの離脱合意が否決される事態になった場合には、あらゆる選択肢を残すべきだ」と曖昧な回答にとどめた。

2回目の国民投票の実施に関しては、同党のジェレミー・コービン党首は、国民投票に立ち返ることは同党の政策にはなく、2016年の国民投票の結果を尊重する姿勢だ。また、影の国際通商相であるバリー・ガーディナー議員も、非民主主義的であり、社会的な不安を増大させる、と否定的なコメントをしている。一方で、同党の支持基盤である英国労働組合会議(TUC)は、国民投票を求める圧力を強めている。また、離脱交渉の最終合意をめぐる国民投票を求める活動団体「ピープルズ・ボート(People’s Vote)」が、労働党議員に対して働き掛けをしていると報道されるなど、支持層からの要望が高まっている。

調査会社ユーガブ(YouGov)が2018年7月末に実施した世論調査では、2回目の国民投票を支持するとの回答が42%で、初めて反対(40%)を上回った。支持政党については、労働党が与党・保守党に並んだ。別の調査では、2回目の国民投票に関し、労働党支持者の58%が賛成する一方で、保守党支持者は21%の賛成にとどまっている。

(木下裕之)

(英国)

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