「ノー・ディール」ガイダンスの追加28文書を公表

(英国)

ロンドン発

2018年09月18日

政府は9月13日、英国が合意なくEUから離脱する「ノー・ディール」に備えたガイダンスの追加文書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。発表されたのは28文書で、8月のガイダンス(2018年8月24日記事参照)に続き2回目(表参照)。EU基金、ラベリング製品および安全性など前回発表された項目への追加文書に加え、EUでの自動車の運転や環境保護、英国・EU間の往来など新たな項目の文書が発表された。

表 9月13日発表のガイダンス文書一覧

「英国・EU間の往来」では、ノー・ディールとなった場合の英国民のEU訪問についての注意事項も発表された。英国民は現状、パスポートを携帯していればシェンゲン協定加盟国に入国することができるが、ノー・ディールとなった場合は、パスポートがシェンゲン領域国への到着日から過去10年以内に発行され、かつ有効期限がシェンゲン領域国からの出国予定日から3カ月以上残っている必要がある。シェンゲン領域国には90日間まで滞在可能であることから、入国時の有効期限が最低6カ月残っていることを推奨している。また、モバイルローミングに関する文書では、ノー・ディールの場合、現状では追加料金がかからないEU域内でのローミングが継続する保証はないとした。その場合、消費者の費用負担が大きく増加することを避けるため、通信業者に対してローミング料金の上限を月額45ポンドにすべく法律を制定する。

今回の追加文書について、英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は「幾つかのビジネス上の課題に対して明確に答えたが、多くの重要課題への回答は示されていない」とコメントした。英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長は「ノー・ディールが企業に与える衝撃が明らかとなり、消費者が予期し得る混乱を示している」とし、EUとの交渉は非常に重要であり、当事者全員が合意に向け一層努力をすべきだとあらためて呼び掛けた。

(木下裕之)

(英国)

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