政府が「革新成長の戦略投資方向」を発表

(韓国)

ソウル発

2018年09月06日

韓国政府は8月13日、金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相の主宰で革新成長関係長官会議を開催し、「革新成長の戦略投資方向」を発表した。それによると、プラットフォーム経済(注1)実現のための3大戦略投資分野として(1)データ、ブロックチェーン、シェアリングエコノミー、(2)人工知能(AI)、(3)水素経済を選定、さらに分野共通で革新人材の育成を目標とし、これら戦略投資分野に2019年に1兆4,900億ウォン(約1,490億円、1ウォン=約0.1円)を投資する方針だ(表1参照)。

また、既存の8大先導事業〔スマート工場、スマートファーム、フィンテック、エネルギー新産業、スマートシティー、ドローン、未来の自動車、超連結知能化(注2)〕のうち、超連結知能化を「データ」「AI」として3大戦略投資分野に移し、代わりにバイオヘルスを8大先導事業に加える。これら8大先導事業には3兆5,200億ウォンを投資する計画だ(表2参照)。

戦略投資分野別にみた主な推進テーマは以下のとおり。

  • データ、ブロックチェーン、シェアリングエコノミー:ビッグデータの活性化、信頼性向上のブロックチェーン技術の高度化、シェアリングエコノミー基盤の構築
  • AI:ビッグデータの活用の基盤となるAI技術の高度化、関連産業との連携により高付加価値新産業の創出
  • 水素経済:未来の環境にやさしいエネルギーとして「生産-保存・移送-利用」といった段階別の水素バリューチェーンの構築と需要基盤の拡充
  • 革新人材の育成:未来の成長有望分野の技術を保有している中核人材1万人の育成、革新的人材育成システムの確立

以上の主な推進テーマの中で、核心プロジェクトは以下の4つ。

  1. ビッグデータ、AI、ブロックチェーンの基盤構築
  2. データ格差の解消、シェアリングエコノミー・パッケージの支援
  3. 水素バリューチェーン別(生産-保存・移送-利用)の研究開発(R&D)実証および生産拠点の構築
  4. 1万人の革新人材の育成(2019年2,000人)、プロジェクト基盤の自主的な問題解決中心の革新教育プログラムの導入
表1 3大戦略投資分野の財政投資
表2 8大先導事業の財政投資

(注1)プラットフォーム経済とは、融合・複合を核とする第4次産業革命時代に必須となるビッグデータ・AIといったインフラなどを活用する経済をいう。

(注2)超連結知能化とは、5G(第5世代移動通信システム)早期常用化、知能化技術開発の拡大、データ流通・取引・活用促進、AIなど知能化核心技術の早期確保、ブロックチェーン技術の拡大などをいう。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国)

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