ジョコ大統領、アジア大会組織委員長を選挙対策チーム長に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年09月12日

ジョコ・ウィドド大統領は9月7日、アジア大会組織委員長を務めた実業家のエリック・トヒル氏(48歳)を、23日から始まる大統領選挙キャンペーンの選挙対策チーム長とすることを発表した。2日までジャカルタで開催されたアジア大会を成功裏に運営した功績を評価したとみられる。ジョコ氏の対抗馬として立候補するプラボウォ・スビアント氏は、元国軍司令官のジョコ・サントソ氏(66歳)を選挙対策チーム長に据えて、軍関係者の票を取り込む構えだ。

高まったナショナリズムを選挙に生かす狙い

「コンパス」紙が9月10日に発表した調査結果によると、アジア大会が選挙戦に良い影響を与えたと答えた人は80.2%に上った。特にジョコ大統領とプラボウォ氏が、自国のアスリートが金メダルを取った際に会場で抱き合い、友好ムードをアピールしたことで、政治的対立を超えた国としての一体感を示すきっかけになったと答えた人は97.4%に達した。また自国選手の活躍に誇りを感じたと答えた人も96.5%に上るなど、大会が国威発揚の場となったようだ。ジョコ大統領としては、エリック氏の登用により、大会で高まったナショナリズムで選挙戦に勢いをつける思惑があるとみられる。

エリック氏は、新聞やテレビ・ラジオ局などを運営するマハカグループの創業者で、イタリアのサッカークラブのインテル・ミラノの会長を務めたことでも知られる。選挙の開票速報を手掛けるサイフル・ムルヤニリサーチ&コンサルティング(SMRC)のジャヤディ・ハナン氏は、エリック氏は政治経験がないものの、ミレニアル層を中心とした若年層から支持を得られるとみている。

対するプラボウォ陣営は、報道によると、ユドヨノ前大統領時代に陸軍司令官を務めたジョコ・サントソ氏を選挙対策チーム長に据える見通しだ。

(山城武伸)

(インドネシア)

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