フランス政府、製造業のデジタル化促進政策を発表

(フランス)

パリ発

2018年09月28日

エドアール・フィリップ首相は9月20日、フランス製造業のデジタル化を促進する政策を発表した。首相は「2012~2015年に製造業で就労者数に対するロボット導入数が低下したのは、欧州の中でフランスだけだ」と指摘。デジタル化の遅れはとりわけ中堅・中小企業で顕著で、地方20カ所に「未来産業への推進拠点」を設置することによって、フランス公共投資銀行(BPI France)、地方自治体、大学・高等研究機関などと連携しつつ、2022年までに中堅・中小企業3万社のデジタル化を促進する。

目玉となるのはデジタル化投資を推進する金融支援措置で、首相は総額5億ユーロを拠出する方針を示した。このうち2億5,000万ユーロは、2年間の期限付きで導入するデジタル化投資に関わる特別償却措置の財源に充てる。企業は、3Dプリンター、生産管理システムなどデジタル投資の原価の40%を特別償却費として計上できる。首相は、これにより「企業はデジタル化投資にかかるコストを最大で11%軽減できる」と強調した。残りの2億5,000万ユーロは、2017年9月に発表された総額570億ユーロの「公共投資計画」を通じ、補助金として拠出する。

他方、デジタル分野の強化に向け、電力の利用に関連して課税される炭素税である電力最終消費税(TCFE)について、付加価値に対して消費電力の比率が高いとされるエネルギー集約型のデータセンター向けの軽減税率を2019年予算法に盛り込む。首相は「同減税は英国のEU離脱や米国クラウド法の成立が欧州への(デジタル関連)投資を誘発することが予想される中、フランスを投資先としてより魅力的にするものだ」と説明した。優遇税制の見返りに、デジタル業界は2022年までにエネルギー消費量を15%削減することが求められる。また、ハイテク産業に必要なスーパーコンピュータの開発について、フランスITコンサルティングのアトスとフランス原子力庁(CEA)が共同で行っている研究開発プロジェクトに、2022年までに総額4,400万ユーロを拠出する方針を示した。

(山崎あき)

(フランス)

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