中国、輸出増値税の還付率引き上げで輸出拡大へ

(中国、米国)

北京発

2018年09月14日

財政部と国家税務総局は9月5日、集積回路や書籍など397品目を対象に輸出増値税の還付率を9月15日から引き上げると発表した。

集積回路、書籍、新聞などの161品目が16%に、竹細工(中国語で「将竹刻」)など57品目が13%に、安全ピンなど179品目が9%に引き上げられる。具体的な品目は、財政部のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。なお、輸出増値税還付率は税務総局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでも品目別に検索できる。

対象397品目の品目数の内訳をHSコード2桁ベースで集計すると、「鉄鋼製品(HSコード73)」が77品目と最も多く、「原子炉、ボイラーおよび機械類ならびにこれらの部分品(84)」が73品目と続き、「プラスチックおよびその製品(39)」、「卑金属製の工具、道具、刃物、スプーンおよびフォークならびにこれらの部分品(82)」の順となった(添付資料の表1参照)。

今回の措置について、中国側では輸出拡大への刺激策となるとの見方がある。商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は「米中貿易摩擦が深刻化し、輸出企業が定額以上の関税支払いを強いられている中、今回の措置は企業の輸出コストを引き下げることになる」との見解を示した(毎日経済新聞9月9日)。

なお、今回の措置が輸出に与える影響をみるため、対象品目とそれらの2017年の対世界の輸出額を照合したところ、上位品目は鉄鋼製品、発光ダイオード(LED)ランプ、機械部品、集積回路、プロセッサーおよびコントローラーなどとなった。これらの品目に対する輸出増値税還付率は1~4%引き上げられた(添付資料の表2参照、注)。

米中両国が関税率の引き上げを繰り返す中、中国は輸出増値税の還付率引き上げを今回の対象品目以外にも広げることが可能とみられ、中国から輸出する企業の貿易摩擦による影響を緩和する1つの対策として注目される。

(注)今回の品目リストでは、HSコードが8桁のもの、10桁のもの、11桁のものが混在しているが、便宜上8桁ベースに統一して集計した。

(藤原智生)

(中国、米国)

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