メイ首相がケニア訪問、自由貿易の維持を約束

(英国、ケニア)

ナイロビ発

2018年09月05日

英国のテレーザ・メイ首相は8月30日、アフリカ3カ国歴訪の最後となるケニアを訪問し、ウフル・ケニヤッタ大統領と首脳会談を行った。英国首相の公式訪問は1988年のマーガレット・サッチャー首相以来、30年ぶり。

メイ首相は会談で、EU離脱(ブレグジット)後もケニアとの自由貿易を維持すると約束し、具体的な枠組みを早々にも発表する意向を示した。2017年の英国とケニアの貿易総額は円換算にすると約733億円で、うちケニアの輸出額は約411億円と輸入額を上回り、ケニアにとって英国はパキスタン、ウガンダなどに次ぐ5番目の輸出先だ。現在、ケニアから英国に輸出する際の関税は免除されている。

メイ首相は、英国企業20社が2018年に、新たにケニアへビジネス展開する見込みだと述べ、英国はケニアの重要なパートナー国であることを訴えた。しかしケニアでは、ユニリーバの大規模なレイオフ(一時解雇)やスタンダードチャータード銀行の店舗縮小など英国系企業の不振が伝えられており、メイ首相のケニア訪問は遅過ぎたのではないかという声も聞かれる。

また両首脳は、ケニアにおける汚職撲滅と2国間安全保障に関する協定に署名した。汚職により多額の公金がケニアから海外の口座に不正流出したとみられており、協定では、英国でこの不正な公金が見つかった場合にはケニアに返還する一方、ケニアは汚職撲滅に全力を挙げることを約束した。また、ソマリア国境の安全対策を盛り込んだ2国間安全保障協定を更新した。

(久保唯香)

(英国、ケニア)

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