江蘇省、環境基準未達の化学企業1,000社を3年以内に閉鎖

(中国)

上海発

2018年09月11日

江蘇省政府は9月4日、「化学・鉄鋼・火力発電業界の高度化を加速するための実施措置」(以下、措置)に関する記者会見を開いた。とりわけ、沿海や川沿いに位置する化学企業や化学工業団地の環境保護基準を明確化し、省内の全地域において同一基準で実施するとしている。

措置では、長江と主要河川の沿岸1キロ圏内の化学企業や化学工業団地について、新設の禁止に加え、既存企業の移転を促す。また、既存54カ所の化学工業団地を再審査し、基準を満たさない団地を閉鎖する。今後3年間で、環境基準に達していない化学企業や、安全生産に大きなリスクが残る化学企業など1,000社を閉鎖する目標が定められている。

また鉄鋼については、第13次5カ年計画期間である2016~2020年において、粗鋼の生産能力を1,750万トン削減し、生産量を1億1,500万トン以下に抑える。石炭火力発電については、低効率の発電設備を淘汰(とうた)し、2020年の石炭消費量を2016年比で3,200万トン低減させることも目指す。

外資企業への外国投資家の出資額が全国一

江蘇省は上海市に近い立地条件に恵まれ、製造業の生産規模が全国31の省・自治区・直轄市で、直近まで8年連続の1位を誇る。日系企業を含め、大型工場を設ける外資企業も多い。

国家統計局の発表によると、2016年末時点で江蘇省の外資企業数は5万5,938社と省市別で3位、外国投資家からの出資額(資本金べ―ス)は3,952億ドルでトップだった(表参照)。江蘇省政府は環境規制に本格的に取り組む姿勢を示しており、外資企業は厳しい対応を迫られている。

表 2016年末の外資企業数と出資額(省市別)

(劉元森)

(中国)

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