ユニクロがスウェーデン進出、北欧で初

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年09月04日

ユニクロは8月24日、スウェーデンの首都ストックホルムでクングストラッドゴーダン店をオープンし、北欧に初進出した。4フロア、1,580平方メートルの大型店で、幅広い商品を展開する。同店が位置するエリアはストックホルム商業地区の一等地にあり、北欧老舗高級百貨店のNKデパートや最大の競争相手とみられるスウェーデン発のH&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)も近隣にある激戦区に打って出た。同店はスウェーデンのモダニズム建築を代表する建築家スベン・マルケリウス氏設計の建物の一角を占めており、開店時に店内で同氏の記念展を開催するなど、地域文化に溶け込むことを意識したマーケティングを展開している。

ユニクロの海外展開は2001年9月に英国から始まり、2017年8月末時点の店舗数は国内831店舗に対し海外1,089店舗で、海外事業の売上高はユニクロ全体の約47%を占めている。今後も欧州事業を拡大していく方針で、2018年9月にアムステルダムにオランダ1号店を、2019年春にはコペンハーゲンにデンマーク1号店をオープンする予定だ。

同社の欧州マーケティングチーフであるオディリア・ダラモン氏は、オープン前日の記者会見で「われわれはH&MやZARA(ザラ)と同じカテゴリーだとは考えていない。同じ流行は追わず、顧客の視点を第一に考え、日常生活をどう改善するかに焦点を当てる。その意味で、H&Mなどとは異なる」と述べ、他のアパレル企業との競合に対する不安はないとした。

インターネット販売における競合相手としてはZALANDO(ザランドゥ)やBoozt(ブースト)が挙げられるが、ダラモン氏は「スウェーデン語でのネット販売やスウェーデン・クローナでの決済はまだないが、配達に当たっては速達オプションなどを提供することにより、高い顧客満足度を提供できると考える」と語る。それよりも、スウェーデンへ進出を予定しているAmazon(アマゾン)の方が、オンラインサービスにたけているという点で脅威になり得るとしている。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正社長は、現地「ダーゲンス・ニーヘーテル」紙(8月23日)のインタビューで「スウェーデン市場は世界で最も洗練され、成熟した、先進的な市場だ。スウェーデン人は、美しさや、本質を重要視し、哲学的な面において高度な感覚を持っている」と述べている。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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